五式七糎半戦車砲

五式七糎半戦車砲の概要

五式七糎半戦車砲は、大日本帝国陸軍が第二次世界大戦期に開発した戦車用砲です。この砲の開発は、当初「七糎半戦車砲（長）」と呼ばれ、新型中戦車（乙）に使用するために半自動装填機構を搭載したものとしてスタートしました。その後、新型中戦車（甲）との併用が決まると、装填機構は省かれ、代わりにカウンターウェイトを取り付けたII型が開発されました。

開発背景と目的

この砲の研究は昭和18年度から始まり、特に連合国軍の強力な戦車に対抗するため、砲口初速850m/sを目標にしました。これにより、装薬の効率を最大化し、より高威力の弾薬を使用することが求められました。砲身は、同時に開発された四式七糎半高射砲と共通の設計が採用され、75mm対戦車砲と同じ弾薬が使用されることが決定されました。

開発の経過

1944年の4月に設計が完了し、大阪陸軍造兵廠で製作が始まりました。8月には試作が完了し、その後数ヶ月間にわたり、機能や弾道特性のテストが行われました。特に10月から11月にかけて行われた戦車学校での実用試験では、各種の性能が確認されました。予定では1945年3月に研究を完了することになっていましたが、実際の進捗は予定より遅れました。

試作砲のうち2門が1944年7月に完成しましたが、1門では装填機構に問題が発生しました。これに対して、1945年1月に修正試験を行った結果、装填機構は改善されましたが、新たに発生した問題により、テストが難航しました。残りの1門は、装填機構を省いたII型に改修されました。

II型のテストと結果

II型は1945年2月に完成し、試験射撃が行われました。試製の榴弾や尖鋭弾を使用した射撃テストでは、いくつかの不具合が明らかになりましたが、試験結果自体は良好で、様々な改良が検討されました。この中で、四式中戦車の車体にII型を搭載し、射撃試験が行われましたが、こちらも良好な成績を残しました。

生産と供給の課題

昭和20年度の火砲調達計画には、五式七糎半戦車砲の生産量が250門と見込まれていましたが、大阪陸軍造兵廠の生産能力には限界があり、実際の調達数は11門に留まりました。これにより、新型の運用を見越した戦車の戦力強化は思うようには進まなかったのが実情です。

参照文献

• - 佐山二郎『日本陸軍の火砲　歩兵砲　対戦車砲他』光人社NF文庫、2011年
• - 『GRANDPOWER №221　10月号』ガリレオ出版、2012年
• - 『帝国陸軍　戦車と砲戦車』学習研究社

現代においても五式七糎半戦車砲は、大日本帝国陸軍の技術の一端を示す重要な遺産として、多くの歴史愛好者や軍事研究者に注目されています。

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