五条橋下

五条橋下は、かつて京都市下京区に存在した花街（遊廓）です。

沿革

その起源は、高瀬川近くの畑地が宅地開発された宝暦8年（1758年）に遡ります。宝暦11年2月（1761年）には、上七軒から茶屋株（茶屋営業許可証）を借り受けて花街としての営業を開始しました。主に南京極町、平居町、都市町といった地域を中心に、南側に位置していた七条新地と共に発展を遂げました。

場所が五条大橋の近くであったことから、「五条橋下」と呼ばれ、また「六条新地」とも呼ばれていました。

明治時代に入ると、七条通に近かった七条新地が北上し、五条橋下は大正初期に合併されることとなりました。その後、1958年（昭和33年）の売春防止法施行まで、遊廓として営業を続けました。特に平居町には、三階建ての貸座敷が立ち並び、その賑わいを物語っていました。

五条橋下の歴史は、京都の遊廓文化の一側面を色濃く反映しており、その隆盛と変遷は、時代の流れと共に変化していきました。最盛期には多くの人々で賑わい、様々な人間模様が繰り広げられていましたが、時代の変化とともに衰退し、その姿を消していきました。

現在、五条橋下の痕跡はほとんど残っていませんが、その名前は、京都の歴史を語る上で欠かせないものとして、人々の記憶に刻まれています。当時の様子を伝える資料や文献は少なく、その詳細な歴史を紐解くことは困難ですが、わずかに残された情報から、当時の賑わいや文化を想像することができます。

五条橋下は、京都の遊廓文化を語る上で重要な場所であり、その歴史は、京都の文化遺産の一部として、後世に語り継がれていくべきでしょう。

参考文献
田中緑紅『亡くなった京の花街』京を語る会、1958年
京を語る会（編）『京都遊廓見聞録』京を語る会、1993年

もう一度検索