五條天神社 (台東区)

五條天神社（ごじょうてんじんじゃ）

五條天神社は、東京都台東区に所在する上野公園内の神社で、主に医薬の祖神として名高い神々を祀っています。主祭神には大己貴命（おおなむじのみこと）と少彦名命（すくなひこなのみこと）があり、相殿神として菅原道真公（すがわらみちざね）も祀られています。また、境内には花園稲荷神社も併設されており、独自の歴史を有しています。

由緒

社伝によると、五條天神社は日本武尊が東征途中に、上野の地で大己貴命と少彦名命を祀るために建立されたのが始まりとされています。また、文明18年（1486年）の文献にも「五條天神」の記録が存在し、最低でも室町時代中期には上野山に位置していたことが確認されています。

社地は幾度かの移転を経て、江戸時代の初めには天神山上（現在の摺鉢山上付近）や寛永寺黒門脇を経て、1697年に現在のアメヤ横丁入口へと遷座しました。最終的には1928年に創祀された地に戻ることになります。相殿の菅原道真公については、江戸時代に開眼供養が行われ、下谷天満宮とも称され、特に歌の道の祖神として信仰されました。

歴史的背景

五條天神社に関する歴史的な記録は豊富で、1662年の『江戸名所記』には上野の鎮守として再興された「牛天神」と記載されています。これにより、少彦名命が祀られることが確認され、後の文献には五條天神とその相殿についての記述があります。江戸時代には東都七天神や江戸三大天神の一つとして広く知られることになりました。

社が瀬川屋敷へ遷座した後には「五條天神門前」という町が形成され、名は明治2年に「五條町」と改名されました。しかし、1964年には上野の一部となり、町名は消滅しました。2010年には1900年の鎮座を記念し、特別な大祭が開催されました。

花園稲荷神社

五條天神社の傍に位置する花園稲荷神社は、倉稲魂命（うがのみたまのみこと）を主祭神とし、創建年代は不詳ですが、五條天神社が移転する以前から存在していました。伝承では、空海がこの地に建立した稲荷山が起源とされ、後に再興されました。1869年に名称が花園稲荷神社に改められ、現在のような社殿が整備されました。

祭事と神事

五條天神社では多くの祭事が行われており、毎月10日に医薬祭が開催されます。この祭りでは大己貴命と少彦名命による無病健康・病気平癒の祈願が行われます。また、毎年5月25日には例大祭が行われ、千貫神輿の渡御があり、周囲を行列が巡る華やかな祭典となります。その他、節分に行われる追儺式や、正月に行う鷽替えの神事も行われ、地域の信仰の中心となっています。

このように、五條天神社は豊かな歴史と信仰の対象として、現在も多くの人々に親しまれ続けています。

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