五條新宮道路

五條新宮道路は、和歌山県新宮市から奈良県五條市を結ぶ、全長約130kmの地域高規格道路（国道168号）です。1994年 12月16日に計画路線に指定されました。

概要

五條新宮道路は、近畿自動車道紀勢線および京奈和自動車道と一体となり、紀伊半島の骨格を形成する重要な役割を担っています。国道168号は、五條市南部や十津川村、田辺市東部にとって唯一の幹線道路であり、救急医療や災害時の緊急輸送路としての機能も期待されています。

しかし、紀伊半島の山間部を縦断するため、国道168号の現道は線形不良、幅員狭小、異常気象時の通行規制など、脆弱な状況が続いています。土砂崩れや地すべり、水害などにより道路が寸断され、地域住民の生活や経済に大きな影響を与えてきました。

五條新宮道路は、これらの問題を解消し、災害に強く信頼性の高い交通路を確保するとともに、紀伊半島の沿岸部と内陸部の交流促進、五條・吉野地域の活性化、観光・林業の振興を目的として計画・建設されています。

本記事では、地域高規格道路として事業化された区間だけでなく、現道改良事業区間についても解説します。

沿革

1988年：熊野川本宮道路の事業に着手
1995年8月：十津川道路、七色高架橋が整備区間に指定
1996年：七色高架橋を着工
1998年：宇井バイパス全線供用開始、上野地トンネル供用開始
1999年：辻堂バイパス着工
2002年：十津川道路（平谷 - 小原）着工
2004年：辻堂バイパス予定区間で大規模地すべり発生
2005年度：川津道路が事業化
2005年3月19日：十津川道路七色工区、本宮道路一部供用開始
2006年3月25日：熊野川本宮道路全線供用開始
2007年3月15日：宇宮原バイパス全線供用開始
2008年3月18日：辻堂バイパス宇井地区供用開始
2008年11月：越路道路桧杖工区供用開始
2009年2月28日：越路道路越路工区開通、全線供用開始
2010年3月9日：川津道路丸瀬トンネル含む一部供用開始
2011年9月19日：十津川道路十津川村折立 - 小原区間供用開始
2011年9月22日：辻堂バイパス夢翔大橋供用開始
2012年4月24日：日足道路田長トンネル付近一部供用開始
2013年3月31日：本宮道路残存区間開通、全線供用開始
2014年3月22日：日足道路残存区間開通、全線供用開始
2016年3月12日：川津道路残存区間開通、全線供用開始、辻堂バイパス閉君トンネルが開通
2016年3月26日：辻堂バイパス天ノ川大橋含む北側区間開通
2018年3月18日：辻堂バイパス残存区間開通、全線供用開始
2019年9月16日：十津川道路十津川村平谷 - 折立区間供用開始
2024年3月23日：阪本工区が開通

主な事業区間

越路道路: 新宮市五新から相賀に至るバイパス。新越路トンネル、南桧杖橋を含む。
日足道路: 新宮市熊野川町田長から日足に至るバイパス。田長トンネル、三津ノ高架橋を含む。
熊野川本宮道路: 新宮市熊野川町東敷屋から田辺市本宮町大津荷に至るバイパス。東敷屋トンネル、二ツ石トンネルを含む。
本宮道路: 田辺市本宮町大居から土河屋に至るバイパス。九鬼トンネル、切畑第一・第二大橋、切畑トンネル、土河屋トンネルを含む。
七色高架橋: 十津川道路の一部。日本最大規模の山岳部連続高架橋。
十津川道路: 十津川村のバイパス。十津川温泉北トンネル、今戸高架橋、今戸トンネル、滝高架橋、大津呂トンネルなどを含む。
川津道路: 十津川村川津から上野地に至るバイパス。丸瀬トンネル、高津小橋、高津トンネルなどを含む。
宇宮原バイパス: 十津川村旭から長殿に至るバイパス。新旭橋、田長瀬トンネル、田長瀬橋、岩原トンネル、小休場橋を含む。
辻堂バイパス: 五條市大塔町宇井から小代に至るバイパス。新宇井橋、夢翔大橋、新猿谷トンネルなどを含む。
阪本工区: 五條市大塔町阪本 - 大塔町小代の未改良区間。

現道改良区間

地域高規格道路名目ではなく、現道改良事業として行われている区間。

小原 - 野尻改良区間: 湯泉地温泉街をバイパスする区間、現道拡幅部分、池穴、山崎集落付近を短絡する区間など。
上野地バイパス: 上野地集落中心部をバイパスする上野地トンネル。
旭口道路: 宇宮原バイパスの南に接続する区間。
宇井バイパス: 十津川村塩鶴から五條市大塔町宇井に至るバイパス。城門トンネル、宇井大橋、ふれあいトンネルなどで構成される。

未改良区間

十津川道路 II期区間: （狭義の）十津川道路と七色工区の間の未改良区間。
風屋川津・宇宮原工区: 川津道路および上野地バイパスの前後の未改良区間。
長殿道路: 宇宮原バイパスと宇井バイパスの間の未整備区間。
* 新天辻工区: 新天辻トンネル前後、阪本橋の右岸付近から宗川野橋付近までの急勾配・急カーブが続く区間。

五條新宮道路は、紀伊半島の交通を円滑にし、地域活性化に貢献する重要な道路です。今後の整備に期待が高まります。

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