五番館

五番舘（ごばんかん）について

五番舘は、北海道札幌市中央区に位置していた日本の百貨店で、1906年から1990年まで営業していました。日本で初めての百貨店としての歴史を持ち、当時からさまざまな商品を取り扱っており、地域に深く根付いた存在でした。

概要

当百貨店は、特に輸入雑貨や新巻鮭の販売に力を入れていました。新巻鮭に関しては、北海道のサケ加工大手である佐藤水産が1954年に五番舘との取引を開始して以来、その関係は深まり、店の名は名物として広まったこともあったほどです。また、五番舘は全国百貨店の中でもいち早く女性店員を採用し、日本初のフォードディーラーとして輸入車の販売も手掛けるなど、時代の先を行く経営スタイルを持っていました。

また、五番舘の名称の由来としては、電話番号が「5」であったことが一般的に知られていますが、「小樽から数えて5番目の開拓使番所跡」であるという説も存在します。創業時の店舗は、横浜の外国人居留地の洋館を模した赤レンガ造りの建物で、そのデザインが多くの人に親しまれていました。

歴史

1906年、五番舘は北海道で初めての百貨店として開店し、1928年には株式会社五番館を設立しました。1959年には新たな地上6階・地下3階の店舗を完成させ、売上も右肩上がりに成長しました。特に1965年には47.9億円の年商を達成し、札幌の丸井今井に次ぐ道内第2位の百貨店に躍進しました。

しかし、1972年には建て替えを行い、さらに1982年に西武百貨店との業務提携を結びます。1988年には旭川西武と合併し、企業名としての五番舘は消滅。しかし、店舗名としては長らく使用され続けました。

1990年に五番館西武として全面改装を行い、その後1997年には札幌西武に店名を変更しました。しかし、2009年に札幌西武も閉店し、五番舘時代の百貨店としての長い歴史に幕を下ろしました。これにより、札幌の百貨店の風景は大きく変わりました。

コバルドオリ

五番舘の跡地には、2017年に「コバルドオリ」という名の交流空間施設が開設されました。この場所は飲食店やチャレンジショップ、地域のコミュニティスペースとして利用されました。「コバル」という名前は、「コミュニケーション（Co）」と「バル（Bar）」を組み合わせたもので、新しい文化の発信を目指して名付けられています。

コバルドオリでは、地域の活性化を目的に様々なイベントが企画され、期間限定で営業を行ったものの、2019年にその営業を終了しました。

五番舘は、札幌市の商業発展に深く寄与し、長い間地域住民に親しまれた施設であり、その記憶は今も多くの市民に残っていることでしょう。現在では、その歴史の一部を伝える情報や資料が、刊行物や映像作品として残されています。

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