五神真

五神真について

五神真（ごのかみ まこと）は、1957年7月26日生まれの日本の物理学者です。東京大学名誉教授であり、量子エレクトロニクス、物性物理学、特に光物性、量子光学を専門としています。東京大学において、第30代総長を6年間務めたことでも知られています。

学歴と職歴

五神氏は、東京都狛江市出身で、旧姓は桑田です。1973年に狛江市立狛江第二中学校を卒業後、1976年に私立武蔵高校を卒業しました。1980年に東京大学理学部物理学科を卒業、1982年には同大学大学院理学系研究科物理学専門課程修士課程を修了しています。その後、博士課程を中退し、東京大学理学部物理学教室の助手となります。1985年には「2光子偏光分光法によるCuCl励起子及び励起子分子系の研究」で理学博士の学位を取得しました。

1988年からは東京大学工学部物理工学科の講師、助教授を経て、1998年に同大学院工学系研究科物理工学専攻の教授に就任しました。その間、1993年から1994年には米国AT&Tベル研究所に客員研究員として在籍し、1997年にはアリゾナ大学光科学センターのAdjunct Professorも務めています。

2001年からは東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター長を併任、2005年には東京大学総長特任補佐に就任しました。2010年には、東京大学大学院工学系研究科附属光量子科学研究センターの教授およびセンター長に就任。また、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授、総合研究機構先端ナノ計測センター教授も兼務しました。2012年から2014年までは東京大学副学長を務め、2014年には大学院理学系研究科長・理学部長に就任しています。

2015年4月には、第30代東京大学総長に就任し、6年間その任を務めました。2021年3月に総長を退任後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻教授に復職し、2022年4月からは国立研究開発法人理化学研究所の理事長に就任しています。

2023年3月に東京大学を定年退職し、同年6月には東京大学より名誉教授の称号を授与されました。

社会的活動

五神氏は、学術分野だけでなく、社会活動にも積極的に参加しています。2006年から2014年まで日本学術会議の連携会員を務め、2014年からは会員に選出されました。また、2015年からは中央教育審議会委員、科学技術・学術審議会委員を歴任し、知的財産戦略本部の本部員や一般社団法人国立大学協会の理事も務めました。さらに、産業構造審議会委員、未来投資会議議員など、幅広い分野で活躍しています。

受賞歴

五神氏の研究業績は高く評価されており、2001年には日本IBM科学賞を「非線形レーザー分光を用いた励起子の量子統計性の研究」で、2010年には宅間宏記念松尾学術賞を「レーザー分光法による固体における光量子物理学の研究」で受賞しています。また、アメリカ物理学会とアメリカ光学会のフェローにも選出されています。

著書

五神氏は、大学改革や知識集約型社会に関する著書も発表しています。

『変革を駆動する大学──社会との連携から協創へ　東京大学ビジョン2020』（東京大学出版会、2017年）
『大学の未来地図──「知識集約型社会」を創る』（筑摩書房、2019年）
* 『新しい経営体としての東京大学──未来社会協創への挑戦』（東京大学出版会、2021年）

五神真氏は、物理学者としての卓越した業績に加え、東京大学総長としてのリーダーシップ、そして社会への幅広い貢献を通して、日本の学術界を牽引する重要な人物です。

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