五稜郭機関区

五稜郭機関区：北海道の貨物輸送を支える拠点

北海道函館市にあるJR貨物五稜郭機関区は、函館本線五稜郭駅構内に位置する、ディーゼル機関車と電気機関車を保有する車両基地です。JR貨物発足以来の歴史を持つディーゼル機関車基地と、JR北海道函館運輸所から移管された電気機関車基地から構成されています。かつて五稜郭操車場が存在した場所の近隣にあり、函館本線の線路に挟まれた立地となっています。

ディーゼル機関車基地 (DL基地)

DL基地は、22,887㎡の敷地に、全長391m、幅86.7mの広さを誇ります。3棟の検修庫と8本の留置線を備え、うち4線には給油設備が完備されています。かつては転車台がありましたが、EH800形電気機関車の導入に伴い撤去され、代わりに新たな1号車庫が建設されました。構内は基本的に非電化ですが、EH800形の定置試験を行う1号車庫内のみ電化されています。

電気機関車基地 (EL基地)

EL基地は、DL基地よりも広い31,192㎡の敷地面積を有し、全長4125m、幅450m（入出庫線を含む）に及びます。6本の電留線、4本の検修線、中引上線、下り引上線、機回り線、そして車輪旋盤線を備えています。全ての転轍機は電動化され、EL庫に隣接する信号扱い所から遠隔操作されます。

構内は交流20kV 50Hzで電化されていますが、北海道新幹線と共用区間を走行するEH800形に対応するため、検修4番線は交流25kV 50Hzの通電が可能なように2017年に改修されました。また、新幹線区間で使用される漏洩同軸ケーブル（LCX）無線システムの地上設備も検修庫と一部電留線に設置され、試験にも利用されています。

1989年から2016年までは、青函トンネルを走行する電気機関車の検査・留置はJR北海道の青函派出所に委託されていました。

歴史

五稜郭機関区の歴史は古く、1943年4月25日に国鉄函館機関区五稜郭操車場給炭水所として開設されたことに始まります。その後、1944年10月11日には五稜郭機関区となり、森給水所、野田追給水炭所、渡島大野転向給水炭所を包含しました。

1968年には五稜郭操車場の入換用としてDE10形ディーゼル機関車が配置され、1969年には扇形車庫が焼失する事故がありました。また、1969年には本線貨物列車の牽引機としてD51形蒸気機関車の置換用としてDD51形ディーゼル機関車が配置されています。1973年には蒸気機関車の運用が完全に廃止され、無煙化が完了しました。

1987年の国鉄分割民営化後、JR貨物の管轄となり、旅客用機関車はJR北海道函館運転所（現・函館運輸所）へ転属しました。1988年には海峡線の開通に伴い、津軽海峡区間での貨物列車運転を開始し、JR北海道所属のED79形電気機関車を使用し、JR貨物の運転士が乗務していました。

1989年にはED79形50番台が新製配置されましたが、留置・検査はJR北海道青函運転区（後の函館運輸所青函派出所）に委託していました。1999年にはディーゼル機関車が鷲別機関区へ転出し、電気機関車のみの配置となりました。2013年にはEH800形導入に伴う構内リニューアル工事が行われ、DL基地の転車台撤去と1号車庫新設、在姿旋盤装置の設置などが行われました。2014年には鷲別機関区廃止に伴い、ディーゼル機関車が再び配置され、室蘭総合鉄道部廃止に伴い室蘭派出も設置されました。2016年にはJR北海道函館運輸所青函派出所が廃止され、その施設と検査設備が五稜郭機関区へ移管されました。

所属車両

2021年3月時点での所属車両は以下の通りです。

電気機関車: EH800形 20両
ディーゼル機関車: DF200形 42両

過去の所属車両にはED79形やDD51形などがあります。

所属車両の識別

五稜郭機関区所属車両は、車体に「五」（黒地）と「貨」（白地）の略号札が付けられています。「五」は五稜郭機関区、「貨」は日本貨物[[鉄道]]を表しています。

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