五辻宮

五辻宮について

五辻宮（いつつじのみや）は、日本の皇室に位置する宮家の一つで、鎌倉時代から南北朝時代の間に存在していました。この宮家は、持明院統と大覚寺統との間で起こった権力闘争に巻き込まれ、また鎌倉幕府の影響も受けつつ、その歴史を歩んできました。

由来

五辻宮の名称は、初代の守良親王が外祖父にあたる藤原実仁から受け継いだ屋敷に由来します。この屋敷は上京五辻、現在の京都市上京区に所在していました。守良親王は亀山天皇の第五皇子として知られていますが、彼の家系は複雑であり、当時の政治的状況に影響されつつ、波乱に満ちた歴史を紡いでいました。

概略

守良親王はその世代の皇族の中で特殊な立場にありました。彼は皇位を継承する立場にあったものの、実際には鎌倉幕府の介入により、彼の所有権は実子ではない人物、つまり久明親王の子である深草宮に譲られることになりました。さらに興味深いことに、同時期に守良親王の実子もまた「五辻宮」を名乗っており、結果として同名の二つの宮家が併存する状況が生まれました。このような事例は、後の久邇宮家を除いては、他に類を見ません。

系図

大覚寺統

守良親王が譲った屋敷は、彼の本意に反して実子ではない深草宮に渡ったため、守良親王の正当な子孫である五辻宮にとっては難しい状況でした。歴史書『太平記』によれば、1333年、守良親王は近江国で今後の動きを巡って激しい戦闘を展開し、彼自身が「先帝第五宮」として活動していたことが記されています。しかしこの時、彼の館に関しては複雑な経緯がありました。のちに、守良親王の皇子である宗覚は家の屋敷を大徳寺に寄進しました。

持明院統

二代目五辻宮である深草宮は、1336年には五辻の館を再び安堵されたものの、守良親王からの返却もあり、持明院統内での地位は揺らいでいました。貞治6年（1367年）の文献に登場する祥益は、「五辻親王家」として知られており、深草宮やその後代の者が親王宣下を受けた記録はないものの、その名は後世に残されました。

結論

五辻宮は多くの他の宮家とは異なり、複数の系統が同時に存在していたため、独特の歴史を持ち続けました。時代を超えて続くこの宮家の系譜は、日本の中世の親王家と宮家における複雑な人間関係や権力争いを形作る重要な要素であったと言えます。記録は断片的ながらも、五辻宮の存在感は日本の歴史に深く刻まれています。

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