五重塔 (大石寺)

五重塔の概要

富士宮市に位置する大石寺の五重塔は、享保年間に第26世日寛が設立し、徳川家宣の夫人である天英院と共に「東洋広布」を願ったことから始まります。1749年に第31世日因の尽力により設立され、庶民を仏道に導くための寄付が集められ、亀山城主の板倉勝澄の供養を受けて完成しました。本塔の内部には、1749年2月28日に日因が書写した本尊が厳かに安置されています。

五重塔が他の建物と異なるのは、その方向性です。大石寺の堂宇は一般に南向きに配置されていますが、本堂の北側に本尊を安置し、南からの太陽光を浴びる形に設計されています。これは日本の伝統的な「君子南面」の考え方に基づくものです。しかし、本五重塔は特異な存在であり、日蓮の教えを反映し、「月氏の仏法は西から東に、日蓮の仏法は東から西に広まる」という思想に基づいて、西向きに建てられています。このため、五重塔は大石寺の中で唯一、外向きには中国やインドの方角を指しています。

1953年には老朽化が進み、当時の創価学会会長である戸田城聖が第64世の日昇上人に修復を提案し、その後修復が進められました。1966年には国の重要文化財として指定され、その後も修復工事が行われています。特に翌年や2016年には、さらなる保存のための工事が実施されました。

五重塔は高さ34メートルを誇り、その規模は東海道でも一際目を引きます。毎年2月16日、日蓮の誕生日には五重塔が開かれ、法主による「御塔開き」の儀式が行われ、信者や観光客にとって特別なイベントとなっています。

さらに、五重塔の近くには、修復に尽力した戸田城聖の墓が存在し、彼の教えと信仰の象徴ともなっています。このように五重塔は単なる建物ではなく、日蓮の教えを体現し、歴史的な価値を持つ文化的遺産として重要な位置を占めています。五重塔を訪れることで、信仰の深さや日本の歴史を感じることができるでしょう。信者だけでなく、観光客にとっても訪れる価値がある場所となっています。その美しい姿と背後にある層厚い歴史を、誰もが深く味わうことができるのです。

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