五集 (増支部)

五集について

『五集』（ごしゅう、巴: Pañcaka-nipāta、パンチャカ・ニパータ）は、パーリ仏典の経蔵増支部に属する第5集であり、仏教思想の重要な文献の一つです。この集には、合計29品1151の経が含まれ、様々な教えや実践についての知見が展開されています。ここではその構成や主要なテーマについて詳しく見ていきたいと思います。

構成

『五集』は、全体を通じて「初の五十」「第二の五十」「第三の五十」「第四の五十」「第五の五十」「第六の五十」と呼ばれるセクションに分かれています。それぞれのセクションでは異なるテーマが設定され、仏教徒にとっての戒律や教えが網羅されています。以下に、各セクションごとの内容を概観します。

初の五十

1. 学力品（Sekhabala-vaggo）: 学びの重要性とその方法について。
2. 力品（Bala-vaggo）: 精神的な力とその向上を目指します。
3. 五支品（Pañcaṅgika-vaggo）: 五つの根本要素を探求します。
4. 沙門品（Sāmañña-vaggo）: 出家者としての生活とその意味。
5. 文荼王品（Muṇḍa-rāja-vaggo）: 王の教えを通じて、統治と道徳を掘り下げます。

第二の五十

6. 蓋品（Nīvaraṇa-vaggo）: 心の障害物を克服する方法について。
7. 想品（Saññā-vaggo）: 知覚とその影響について考察します。
8. 戦士品（Yodhājīva-vaggo）: 戦士や生存者の精神的特性。
9. 長老品（Thera-vaggo）: 年配者の知恵とその伝承。
10. 伽倶陀品（Kakudha-vaggo）: 衰退に関する教え。

第三の五十

11. 安穏住品（Phāsuvihāra-vaggo）: 安住の心構え。
12. 阿那伽頻頭品（Andhakavinda-vaggo）: 禁止された行動を避ける教え。
13. 病品（Gilāna-vaggo）: 健康と病の理解。
14. 王品（Rāja-vaggo）: さまざまな知恵を持つ統治者としての生き方。
15. 底甘陀品（Tikaṇḍakī-vaggo）: 卑しむ根源について。

第四の五十

16. 妙法品（Saddhamma-vaggo）: 正しい教えの重要性。
17. 嫌根品（Āghāta-vaggo）: 嫌悪の感情を扱う。
18. 優婆塞品（Upāsaka-vaggo）: 信者としてのあり方。
19. 阿蘭若品（Arañña-vaggo）: 自然との一体感を重視します。
20. 婆羅門品（Brāhmaṇa-vaggo）: ヴェーダとその教え。

第五の五十

21. 金毗羅品（Kimila-vaggo）: 財の理解とその管理。
22. 罵詈品（Akkosaka-vaggo）: 他者への非難や批判について。
23. 長遊行品（Dīgha-cārika-vaggo）: 長期的な修行の重要性。
24. 旧住品（Āvāsika-vaggo）: 過去の生活とその影響。
25. 悪行品（Duccarita-vaggo）: 不善行の警告。

第六の五十

26. 近円品（Upasampadā-vaggo）: 近づきやすさ。
27. 俗品（Sammuti-peyyālaṃ）: 社会的な認識とその価値。
28. 学処品（Sikkhāpada-peyyālaṃ）: 教えを実践するための段階。
29. 貪品（Rāga-peyyālaṃ）: 貪欲とその克服方法について。

書籍情報

この『五集』の日本語訳は、『南伝大蔵経・経蔵・増支部経典3』（第19巻）として大蔵出版から刊行されています。これにより、より多くの人々が仏教の教えに触れることができるようになっています。『五集』は、教えの重要な資料であり、仏教徒だけでなく、広く仏教思想に興味を持つ人々にも価値のあるテキストであるといえます。

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