五鬼上堅磐

五鬼上堅磐について

五鬼上堅磐（ごきじょう かきわ、1897年1月1日 - 1971年3月7日）は、日本の裁判官として多くの重要な役職を歴任し、法曹界に大きな影響を与えた人物です。三重県熊野市が出身の彼は、1922年に中央大学法科を2年修了後、弁護士試験に合格し、法律家としてのキャリアをスタートさせました。

法律家としてのスタート

彼の職業人生は、弁護士業務から始まり、それから数年後の1946年5月には大審院の検事に就任しました。続いて、同年6月には司法大臣官房秘書課長、1947年12月には最高裁判所事務総局の事務次長を務めたことで、司法制度の改革に取り組む機会を得ました。

最高裁判所事務総長としての業績

1950年6月、五鬼上は最高裁判所事務総長に任命され、約8年間にわたり司法行政の統括を担いました。この期間には、裁判所の内部構造や最高裁機構改革に関する問題に注力しました。特に1957年、最高裁機構改革法案が国会に提出されるも、最終的には廃案となった事例があり、この法案に対する彼の取り組みには賛否が分かれることがありました。

さらに1955年には、映画「真昼の暗黒」の制作について、八海事件が係争中であることを理由に、その制作を抑制するよう関係者に圧力をかけるなど、司法の立場を活かした行動が見られました。

高裁長官から最高裁判事への道

その後、名古屋高裁長官や大阪高裁長官を経て、1961年8月には最高裁判事に就任しました。彼は就任に際し、「裁判の敏速化に努めたい。あまり時間がかかり過ぎると、裁判の価値が失われることがある」と述べ、司法の迅速化を重視しました。

1966年12月には定年退官を迎えましたが、彼の影響力は引き続き続いていました。退任後の1968年4月には中央大学理事長に就任し、当時大学が抱えていた紛争の解決に取り組むこととなりました。しかし、「白紙でのぞむ」という姿勢を示したものの、紛争は進展せず、1969年には辞任に追い込まれました。

思い出と死去

五鬼上堅磐は1971年3月7日、東京都新宿区の東京女子医大病院で食道がんにより74歳でこの世を去りました。彼の生涯にわたる法曹界への貢献は、多くの裁判官や法曹界の後輩たちに大きな影響を与え続けています。

参考文献

彼の業績や人生については、野村二郎著の『最高裁全裁判官：人と判決』に詳しく記されています。この書籍は、五鬼上を含む多くの裁判官の人生や判決に関する貴重な情報源となっています。

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