五龍城

五龍城（ごりゅうじょう）

五龍城は、広島県安芸高田市甲立に位置する日本の山城で、現在は広島県の指定史跡となっています。可愛川と本村川が合流する地点に築かれたこの城は、地形を巧みに活かした半島状の丘陵上に建設され、連郭式の山城として知られています。

城の構造と遺構

五龍城の特徴は、尾根を堀切で断ち切る独特の構造にあります。本の丸にはかつての石垣が現存しており、搦手にあたる西側には大きく深い堀切が設けられています。この堀切は、敵の侵入を防ぐための防御策として機能していました。また、現在でも城内には石垣、井戸、土塁などの遺構が確認でき、標高もさほど高くないため、訪れた人々にとって探索しやすいスポットとなっています。

また、五龍城の真下には国道54号線が通っており、交通の利便性も悪くありません。現在は宍戸神社が城跡に建設されており、地域のシンボルとなっています。

五龍城の歴史

この城を築城した宍戸氏は、源頼朝の御家人であり、八田知家の子孫にあたります。八田知家は、鎌倉幕府で高い地位を持ち、関東地方に広く所領を有していました。彼の四男・八田家政が常陸国の宍戸を拠点としたため、宍戸という名字が生まれました。

初めは代官として安芸国を支配していましたが、鎌倉時代末期に宍戸朝家は安芸国甲立荘に下向し、そこに新たな基盤を築くことになります。安芸に移った際には、近隣の柳ヶ城を居城としていましたが、南北朝時代に五龍城を築いて移転しました。この時期、水の供給が不足していたため、五龍王を勧請し水が湧き出ることを祈願したところ、井戸水が湧き出てきたことに感謝し、城名を五龍城と名付けました。

戦国時代に入ると、宍戸氏はこの城を中心に勢力を拡大し、周囲との争いを繰り広げました。やがて毛利氏とも関わりを持ち、1533年には宍戸隆家が毛利元就と和解し、元就の娘である五龍局と婚姻関係を結びます。この結びつきにより、宍戸氏は毛利氏の重臣として重要な役割を果たします。

しかし、1600年に関ヶ原の戦いが起こると、宍戸氏も毛利氏の防長移封に従う形で萩に移り住むことになり、五龍城はその後廃城となりました。これにより、安芸宍戸氏の歴史は幕を閉じました。

1971年には五龍城が広島県の史跡として指定され、今日でもその歴史的価値が認識されています。

結論

五龍城は、歴史的にも重要な位置を占める城であり、その遺構は今も近くに住む人々や訪れる観光客に親しまれています。地域の文化に根ざした歴史を感じることのできる、貴重な場所です。

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