井上二郎

井上 二郎

1974年6月7日生まれ、神奈川県横浜市出身のNHKチーフアナウンサー。浅野中学校・高等学校、慶應義塾大学法学部を卒業後、1998年に入局。身長は186cm。プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの熱烈なファンとしても知られる。

キャリアは沖縄放送局から始まり、2002年からは神戸放送局で夕方のニュース番組『ニュースKOBE発』のキャスターを務めるなど、地方局での経験を積んだ。特に神戸時代には、阪神・淡路大震災から10年の節目に制作されたNHKスペシャルなど、震災関連の報道・取材に深く関わった。

その後、東京アナウンス室へ異動。全国向けの番組で活躍の場を広げ、『NHKニュースおはよう日本』の早朝時間帯や、ニュースを掘り下げる番組『週刊ニュース深読み』でキャスターを務めた。この時期から、東日本大震災をはじめとする数多くの災害報道を担当。地震、豪雨、火山噴火、台風など、様々な自然災害の発生時には、速報や避難の呼びかけなど、ニュースの最前線で重要な役割を担うようになった。土日・祝日の『正午ニュース』のキャスターとしても長年活躍し、緊急報道に対応した経験も豊富である。

特に福岡放送局勤務時代（2015年〜2017年）には、九州北部豪雨や熊本地震が発生。福岡局のスタジオから全国放送で長時間にわたり、被災地の状況や必要な情報を伝え続けた。また、報道活動の傍ら、個人的に災害ボランティアにも参加し、長期にわたって現地での取材を重ねることで、被災地の現実と人々の声に寄り添う姿勢を示した。この福岡時代には地域情報番組『ロクいち!福岡』のメインキャスターも務め、共演者である近江友里恵氏、林田理沙氏が人気番組に抜擢されるなど、地域での実績も上げている。

2018年に再び東京アナウンス室へ。情報番組『週刊まるわかりニュース』で編集長（メインキャスター）に就任。かつて新聞記者を志した経験があり、この役割には特別な思いを抱いていたことを語っている。ここでは国内外の複雑なニュースを分かりやすく解説する手腕を発揮。また、西日本豪雨など、この時期にも緊急報道のキャスターとして度々出演し、「ニュースの顔」としての存在感を不動のものとした。

長年の報道現場での経験から、災害時における「命を守る呼びかけ」の重要性を深く認識しており、受け手の行動を促す言葉、すなわち「人の心を動かす言葉」とは、アナウンサー自身の「人間性」が問われるものであるという持論を持つ。自身の経験からこの結論に至ったといい、言葉の力を磨き続けたいという強い思いを抱き、日々放送に臨んでいる。

また、戦争や平和、社会的な課題についても積極的に取材を行ってきた。沖縄局時代には太平洋戦争に関する取材を重ね、神戸時代には震災からの復興にまつわる取材を深掘りしている。

低音で深みのある声質を生かしたナレーションにも定評があり、『ダーウィンが来た!』、『新日本風土記』、『コズミックフロント』など、NHKを代表するドキュメンタリー番組で数多くの語りを担当。その表現力は、硬派なニュースから情感豊かなドキュメンタリーまで、幅広いジャンルに対応できるアナウンサーとしての力量を示している。

現在（2024年時点）は、『NHKニュースおはよう日本』の土日・祝日のメインキャスターを務める傍ら、『ダーウィンが来た!』や『新日本風土記』のナレーション、不定期のニュース番組などを担当している。大晦日の『ゆく年くる年』の司会やラジオ番組など、その活動は多岐にわたる。硬軟織り交ぜた幅広い分野で活躍し、視聴者からの信頼も厚いベテランアナウンサーである。

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