井上悦子

井上 悦子のテニスキャリア

井上悦子（いのうえ えつこ、現在は兼城 悦子 かねしろ えつこ）は、1964年10月18日に東京都中野区で生まれた元女子プロテニス選手です。彼女は1980年代、日本の女子テニス界を代表する選手として活躍し、特に日本人選手が世界で競争できる道を開いた人物として知られています。井上は、シングルス最高ランキング26位（1988年3月14日付）を記録し、その当時、日本の女子テニス選手として前例のない成果を収めました。

初期の経歴

井上は中野区で生まれた後、神奈川県の横浜市に移り住みました。彼女は横浜市の港南台高等学校に通っている間に、1980年のインターハイ女子シングルスで優勝。この成功が彼女をプロテニス選手へと導いたきっかけとなりました。1981年には高校を中断し、プロへの道を踏み出したのです。彼女は同世代の岡川恵美子、岡本久美子とともに「3人娘」として知られ、彼女たちも日本のジュニア選手として活躍を期待されていましたが、井上は特に「世界への挑戦」を強く掲げていました。

国際舞台での活躍

井上の4大大会初出場は1983年の全仏オープンで、そこで彼女は予選を勝ち上がり、本戦でも1回戦を突破。次のラウンドで第15シードのクラウディア・コーデ＝キルシュに敗れたものの、その後は本戦に直接出場できるようになりました。この年の10月には国内大会で準決勝に進出した後、「サントリー・ジャパン・オープン」にてプロ初優勝を達成します。

その後、彼女は1984年のボーデン・クラシックでも優勝し、1985年には全日本テニス選手権で女子シングルス初優勝を果たします。さらに、1987年までの間に大会で3連覇を達成し、1982年から1989年まで女子国別対抗戦「フェデレーション・カップ」の日本代表選手としても活躍しました。

特筆すべきは1987年の全豪オープン女子ダブルスで、井上はカナダのパトリシア・ヒーとペアを組み、準決勝まで進出しました。1988年には全豪オープンとウィンブルドンでそれぞれ3回戦に進出し、同年のソウル五輪では岡本とともに女子ダブルスで準々決勝に進むという成果を残しました。彼女は1989年に全日本テニス選手権の女子シングルスで再び優勝を果たし、井上の最高ランキング26位は1992年2月まで日本人女子選手の中で最高の記録でした。

現役引退後とその後の活動

井上は1990年にウィンブルドンでの1回戦敗退をもって現役を引退しました。その後、大学の試験を受けて東洋英和女学院大学を卒業し、在学中にトレーナーの兼城潜と結婚し「兼城悦子」と名乗るようになります。大学卒業後は、日本テニス協会強化本部ジュニア委員やフェドカップ日本代表監督など、重要な役割を務めてもきました。

現在も彼女はテニスの普及に力を入れており、次世代の選手たちへ知識や経験を伝える活動を続けています。井上悦子の業績は、日本の女子テニス界における重要な歴史の一部を形成しており、多くの後輩たちの目標であり続けています。

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