井上角五郎

井上 角五郎：実業家と政治家の生涯

井上 角五郎（いのうえ かくごろう、1860年11月30日 - 1938年9月23日）は、日本の著名な実業家および政治家です。彼は朝鮮政府の顧問としても知られ、その影響力は多岐にわたりました。

生い立ち

井上は広島県の深津郡野上村で生まれ、幼少期より優秀な学業成績を誇り、特例で福山藩校に入学しました。14歳で村の小学校の教師としての経験を積み、19歳で広島県立師範学校を卒業。その後、上京し慶應義塾に入学し、そこで福澤諭吉の下で学びました。

渡鮮と新聞の発刊

1882年、壬午事変を受け、井上は朝鮮政府の顧問として渡鮮しました。市民の識字率向上を目的として朝鮮語による新聞の発行を提案し、1883年に「漢城旬報」という近代的新聞の創刊に成功しました。この新聞は国王の認可を受けて発行され、朝鮮における民族意識の向上に大きく寄与しました。

しかし、保守派からの反発も受け、井上は甲申政変によって命の危険を感じ、命からがら日本に帰国しなければなりませんでした。その後も井上はハングルの使用を促進する活動を続け、1886年には「漢城周報」を発刊しました。この新聞は、政府公認のもとでハングルを使用した最初の新聞として評価されています。

政治家としての活動

アメリカに渡った後、帰国し再び政治の道に進んだ井上は、1888年には政界入りを果たします。彼は第1回帝国議会に当選し、その後14回連続で当選を果たしました。彼は北海道炭礦鉄道の社長としても活動し、実業界で名を馳せました。

井上は賛否の多い人物でしたが、実業界の改革や政治活動を通じて近代日本の発展に貢献しました。

実業界での功績

井上は、経済界においても幅広い業績を残しました。彼は日本製鋼所や南満州鉄道の設立にも携わり、特に北海道での炭鉱開発や鉄道事業に積極的に関与しました。また、製鉄や製鋼事業の立ち上げにも力を入れ、「室蘭の製鉄業の祖」と称されるまでの功績を残しました。さまざまな企業の役員としての実績もあり、彼の経営手腕は多くの人々に評価されました。

栄誉と影響

井上はその功績により、数々の栄典を受け、国民工業学院の理事長として教育界にも大きな影響を与えました。彼の果たした役割は、朝鮮の近代化や日本の実業界の成長に重要なものでした。

井上角五郎の生涯は、実業、政治、文化の複合的な影響を持つ日本近代の一端を示すものであり、彼の影響は今でも語り継がれています。

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