井戸田駅

井戸田駅

概要

井戸田駅（いどたえき）は、愛知県名古屋市瑞穂区にかつて存在した、名古屋鉄道（名鉄）名古屋本線の鉄道駅です。現在の名鉄名古屋本線における呼続駅と堀田駅の中間に位置していました。1917年に愛知電気鉄道の駅として開業しましたが、半世紀余りの歴史を経て1969年に廃止されています。

歴史

井戸田駅の歴史は、愛知電気鉄道が神宮前駅と笠寺駅の間を結ぶ路線を開業させた1917年（大正6年）3月7日に始まります。この時、中間駅の一つとして開設されました。開業当時の駅は、堀田駅方面からほぼ真東に進み、当駅付近で急カーブを描く線路の途中に位置していました。

その後の輸送需要の増加と近代化に対応するため、線路の改良が進められます。1930年（昭和5年）7月11日には、堀田駅と呼続駅間の複線化および線形改良工事が完成したのに伴い、駅は当初の位置から約300メートル南南東の場所に移設されました。この移転により、急カーブは緩和され、よりスムーズな列車運行が可能になったと考えられます。

1935年（昭和10年）8月1日には、愛知電気鉄道が名岐鉄道と合併し、名古屋鉄道が発足したことで、井戸田駅は名鉄の駅となりました。しかし、時代は第二次世界大戦へと向かい、戦況の悪化や輸送体制の見直しなどの影響を受けて、1944年（昭和19年）に駅は休止されることとなります。

休止期間中であった1948年（昭和23年）5月16日には、所属する路線の改称により、名古屋本線所属の駅という扱いになりました。一度休止された駅が再び営業を再開することはなく、約25年間の休止期間を経て、1969年（昭和44年）4月5日に正式に廃止されました。

駅の立地と周辺環境

かつての井戸田駅は、現在の名古屋本線において、呼続駅と堀田駅の間にある直線区間に位置していました。駅の廃止が正式決定される以前の休止期間中に、駅の設備はすべて撤去されたとされています。これは、井戸田駅が存在した区間を含む、神宮前駅と呼続駅の間で大規模な鉄道高架化工事が進行していたことと関連があります。この区間の高架化は1968年（昭和43年）に下り線が、翌1969年（昭和44年）に上り線がそれぞれ完成しており、駅の撤去はこの工事に合わせて行われたものと考えられます。現在、駅の痕跡を示すものはほとんど残っていません。

利用状況

井戸田駅の利用状況については、『愛知県統計書』に年間乗降人員に関する記録が残されています。これらの統計資料を参照することで、かつての駅の賑わいや利用状況の推移について、ある程度の情報を得ることが可能です。（具体的な数値の詳細は資料をご参照ください。）

関連する駅

井戸田駅の呼続駅方には、かつて南井戸田駅という駅も存在していました。この駅は愛知電気鉄道が開業させた駅の一つでしたが、井戸田駅よりも早い時期にあたる1923年（大正12年）6月には既に廃止されており、短命に終わっています。

隣の駅

井戸田駅が旅客営業を行っていた時代には、名古屋鉄道の豊橋線（後の名古屋本線の一部）に所属していました。当時の運行形態において、井戸田駅に停車する列車は普通列車のみでした。普通列車における隣の駅は、豊橋方面が呼続駅、岐阜方面が堀田駅であり、駅の並びは呼続駅 - 井戸田駅 - 堀田駅となっていました。特急や急行といった優等列車は井戸田駅には停車せず、通過していました。

もう一度検索