井筒部屋

井筒部屋の歴史と変遷

井筒部屋（いづつべや）は、かつて存在した日本相撲協会の相撲部屋であり、その歴史は非常に深く、数多くの力士たちの成長を見守ってきました。1884年に幕内力士の井筒菊治郎が興したこの部屋は、数度の変遷を経て多くの名力士を輩出しました。これは相撲界における名門の一つとされ、鹿児島出身者が特に多く在籍していました。

初代の創設と高砂一門時代

初代の井筒部屋は、引退後の井筒菊治郎が設立したもので、その後1887年に彼が他界すると一時的に閉鎖に追い込まれました。しかし、明治後期に初代西ノ海嘉治郎が8代井筒を襲名し、再び部屋は活気を取り戻します。8代井筒のもとで、彼は多くの弟子を育て上げ、特に横綱や大関などの高い地位に昇った力士もおりました。この時期、井筒部屋は鹿児島出身者の強い基盤を築いていくことになります。

その後、2代西ノ海が9代井筒を継ぎ、さらに多くの力士たちが活躍。繁栄の時代を迎えたのですが、彼は取締としても活躍していましたが、1931年には自ら命を絶つという悲劇的な出来事もありました。

双葉山道場傘下への移行

1938年に双葉山定次が横綱に昇進すると、井筒部屋は双葉山相撲道場傘下に入りました。この変遷により、井筒部屋は高砂一門から時津風一門へと転属を遂げ、戦争の影響も受けながら力士たちを支え続けました。1944年に10代井筒が逝去した後、12代井筒が東京都において部屋を再興し、多くの力士を育成していくことになります。

時代の変化と名跡の継承

1972年、11代井筒が亡くなると、後継者を巡る意見の不一致が生じました。その結果、12代井筒が名跡を返上し、井筒部屋の名前は一時的に消滅します。しかし、1977年には名跡交換が行われ、14代井筒が再び部屋を復活させることとなりました。名跡を受け継いだのは8代君ヶ濱で、多くの力士を育成し、時津風一門の系統に戻りました。

1994年に14代が定年退職を迎え、15代井筒が部屋を継承しました。この期間には、モンゴル出身の力士が大関や横綱に昇進するという新たな歴史も刻まれました。

井筒部屋の閉鎖

残念ながら、2019年には15代井筒が急逝しました。この事故により部屋は後継者を欠く状態となり、日本相撲協会は井筒部屋の力士たちを他の部屋に受け入れることを決定。鶴竜を含めた数名の力士は、新たに陸奥部屋に転属する名目で新しい道を歩むことになります。

現在の状況

井筒部屋の名跡は後に借株として引き継がれ、その後、弟子である元大関・霧島が陸奥部屋を運営する形となり、再び井筒部屋の流れが復活することが期待されましたが、力士たちの再興はかなわず、名跡と部屋経営は模索を続けています。

最後に、井筒部屋の歴史は相撲界の変革とともに続きますが、その名は永遠に相撲ファンの記憶に残り続けるでしょう。

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