井野次郎

井野次郎は、1877年（明治10年）3月25日に群馬県東群馬郡徳丸村（現在の前橋市）で生まれました。父は井野壽平です。東京高等師範学校を経て、1913年に東京帝国大学法科大学法律学科（英法）を卒業しました。1912年11月には、文官高等試験行政科試験に合格し、内務省に入省、群馬県属としてキャリアをスタートさせました。

その後、井野は地方行政官として、東京府郡長、熊本県理事官、神奈川県理事官、長崎県警察部長、広島県警察部長、佐賀県書記官・内務部長、和歌山県書記官・内務部長と、数々の要職を歴任しました。さらに、宮城県書記官・内務部長、北海道庁部長・土木部長も務めるなど、その行政手腕は高く評価されていました。

1930年8月には、沖縄県知事に就任し、「沖縄県振興計画」の策定に尽力しました。この計画は、沖縄県の発展を目指すものでしたが、折からの中国との戦争激化という情勢を受け、残念ながら実施には至りませんでした。その後、1935年6月には宮城県知事に転任し、失業対策事業の実施や東北振興計画の推進に尽力しましたが、1936年6月に同県知事を退任しました。

その後、井野は東京市助役を経て、長崎市長に就任しました。長崎市長としての具体的な活動については、資料が限られていますが、地方行政に大きく貢献した人物として知られています。

井野次郎は、地方行政官として、そのキャリアを通じて様々な地域で活躍しました。特に沖縄県知事時代には、県民の生活向上を目指した計画を策定するなど、その熱意と実行力は高く評価されています。その後の長崎市長としての活躍を含め、地方行政の発展に大きく貢献した人物と言えるでしょう。

井野次郎は、1952年（昭和27年）10月25日に生涯を閉じました。

参考文献

上田正昭他『日本人名大辞典』講談社、2001年。
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
人事興信所編『人事興信録』第10版 上、1934年。

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