交響曲第12番 (ヴィラ＝ロボス)

交響曲第12番 (ヴィラ＝ロボス)

交響曲第12番は、著名なブラジルの作曲家エイトル・ヴィラ＝ロボスによって1957年に書かれた作品です。

この交響曲は、作曲家がニューヨーク滞在中に筆を進め、自身の70回目の誕生日という記念すべき日である1957年3月5日に完成されました。ヴィラ＝ロボスは、この大切な作品を、生涯最後の23年間を共に過ごした伴侶であるアルミンダ・ネヴェス・ダルメイダ（Arminda Neves d'Almeida）、通称ミンディーナに献呈しています。

作品の初演は、完成からおよそ1年後の1958年4月20日、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.にあるリスナー公会堂で行われました。この時の演奏はワシントン・ナショナル交響楽団によって担われ、ハワード・ミッチェルが指揮台に立っています。ヨーロッパにおける初演は、そのすぐ後、同年9月22日にベルギーのブリュッセルで実現しました。この時は、作曲者自身がラジオ・ベルギー大交響楽団を指揮し、自らの手でヨーロッパへ作品を紹介しました。

楽曲の構成

この交響曲は全4つの楽章で構成されており、全体を通しての演奏時間は約24分です。

1. Allegro non troppo
2. Adagio
3. Scherzo (Vivace)
4. Molto Allegro

各楽章の詳細

第1楽章は「Allegro non troppo」と指定されており、形式的には5部ロンド形式（A-B-A-C-A）に近い構造を持っています。終結部であるコーダでは、主要な主題が拡大された形で再び現れます。この楽章は約5分という比較的短い演奏時間の中に、実に多様な音楽要素を含んでいます。長く息をのむようなロマンティックな旋律が現れたかと思えば、短い無調的な響きを持つ断片も顔を出し、その表現の幅広さを示しています。

第2楽章の「Adagio」は、静かで内省的な楽章です。三部形式（A-B-A）に基づき構成されており、演奏後には休憩を挟まず、そのまま次の第3楽章へと切れ目なく繋がります。音楽は非常に半音階的な進行を見せ、特に悲しげな雰囲気を持つ旋律がファゴットのソロによって提示されます。しかし、この旋律に寄り添うように現れる伴奏は、特定の調性を持たない不協和な和音を奏で、独特の響きを作り出しています。

第3楽章は速度指定が「Vivace」であるスケルツォ楽章です。この楽章も第1楽章と同様に5部ロンド形式を採用していますが、構造には変化が見られます。中心的なA主題が再現される際には、初回の登場時とは異なる調性で奏でられます。また、A主題は一度目の提示の直後に変形されてすぐさま二度目の提示（A'）が行われるため、全体としてはA-A'-B-C-A''という独特の形をとっています。この楽章は激しい舞踏を思わせる音楽であり、そのために多種多様な打楽器が重要な役割を果たします。特に、乾燥させたヤシの皮のような民族楽器も効果的に使用され、色彩豊かなサウンドを生み出しています。

終楽章の「Molto Allegro」は、文字通り非常に速いテンポで演奏されます。この楽章もまた5部ロンド形式を基盤としていますが、構成は改変されています。スケルツォ楽章と同様に、主題が再び現れる際には、やはり最初の提示とは異なる調性で提示されます。音楽は非常に力強いリズム要素が支配的であり、これが一方ではロマン派音楽を思わせるような流麗な旋律と対比されることで、聴きごたえのあるフィナーレを形成しています。

ヴィラ＝ロボスの交響曲第12番は、作曲家円熟期の作品として、彼の多様な音楽語法と形式への独自の解釈が融合した興味深い作品と言えるでしょう。

（本記述は、公開されている情報源に基づき作成されています。参考文献、関連文献、外部リンクについては、元の情報をご参照ください。）

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