交響曲第2番 (ドヴォルザーク)

アントニン・ドヴォルザークによる交響曲第2番 変ロ長調 作品4, B. 12は、作曲家がそのキャリアの比較的初期にあたる1865年に筆を進めた作品です。

作曲背景と経緯

前作である交響曲第1番 ハ短調《ズロニツェの鐘》の完成に続いて、ドヴォルザークはこの第2交響曲の作曲に取り組みました。1865年8月1日に着手され、わずか約2ヶ月後の10月9日には完成に至っています。しかし、完成後すぐにこの新しい交響曲が演奏される機会は得られませんでした。楽譜は友人のモルジック・アンガーによって長らく保管されることになります。時を経て1887年、ドヴォルザークはスコアを取り戻し、初期作品にしばしば見られる冗長な箇所を削るための改訂を施しました。この改訂を経た作品は、作曲から20年以上が経過した1888年3月11日に、プラハにおいてアドルフ・チェフの指揮、国民劇場管弦楽団の演奏によってようやく初演を迎えました。出版はさらに遅れ、実際にこの作品が出版されたのは1959年になってからです。この遅れのため、かつてはドヴォルザークの他の作品、具体的には現在の交響曲第7番 ニ短調（作品70, B. 141）が「第2番」として知られていた時期もありました。

楽曲の特徴

この交響曲には、ベートーヴェンやシューベルトといった先達に加え、当時影響力を持っていたワーグナーやリストといった作曲家たちの影響が随所に感じられます。作品は伝統的な4楽章構成を取り、全曲の演奏時間は第1楽章の繰り返しを含めておよそ50分程度です。

楽器編成

管弦楽編成は以下の通りです。

ピッコロ
フルート2（うち1人はピッコロ持ち替え）
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット2
ホルン4
トランペット2
トロンボーン3
ティンパニ
弦五部

楽章構成

第1楽章 アレグロ・コン・モート
変ロ長調、4分の2拍子で、ソナタ形式が採用されています。提示部の反復指定に特徴があり、第1主題の提示途中から繰り返しが始まるという珍しい構造を持っています。

第2楽章 ポコ・アダージョ
ト短調、8分の12拍子で書かれ、自由な三部形式をとっています。中間部では、弦楽器と木管楽器がそれぞれ提示する新しい主題が組み合わされ、重層的な二重フガートが展開されます。

第3楽章 スケルツォ：アレグロ・コン・ブリオ
変ロ長調、4分の3拍子による三部形式の楽章です。活気あふれるスケルツォと、対照的な中間部（トリオ）で構成されます。

第4楽章 アレグロ・コン・フォーコ
変ロ長調、2分の2拍子（アラ・ブレーヴェ）で、自由なソナタ形式によります。「コン・フォーコ」（火のように）という指示通り、情熱的な音楽が展開されます。ソナタ形式としては変則的な部分があり、特に展開部が比較的短く、また再現部では第2主題が再現されない構造が特徴として挙げられます。

この交響曲第2番は、ドヴォルザーク初期の創作意欲と探求心を示す作品であり、後の傑作群へ繋がる作曲家の歩みをたどる上で貴重な位置を占めています。

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