交響曲第3番 (コリリアーノ)

概要

ジョン・コリリアーノ（John Corigliano, 1938年 - ）作曲の交響曲第3番は、正式名称を『キルクス・マクシムス』（Circus Maximus - Symphony No. 3 for Large Wind Ensemble）といいます。これは大編成の吹奏楽のために書かれた作品です。ラテン語の原題である「キルクス・マクシムス」は、その英語読みから『サーカス・マキシマス』と表記されることもあります。

この作品は、テキサス大学オースティン校音楽学部と、同校ウィンドアンサンブルのバンドディレクターを務めるジェリー・ジャンキン（Jerry F. Junkin）氏からの委嘱を受けて生まれ、2004年に完成しました。初演は翌2005年2月16日、テキサス州オースティンにあるテキサス大学オースティン校芸術センター内のバス・コンサート・ホールで行われ、委嘱元であるテキサス大学オースティン校ウィンドアンサンブルによって初めて演奏されました。演奏時間は約35分に及びます。

着想と特徴

コリリアーノは、大編成による吹奏楽のための劇的な音楽を求める声に応える形でこの作品を構想しました。作曲にあたり、彼は古代ローマに実在した巨大な競技場であるキルクス・マクシムスを題材として選びました。かつてこの場所では、戦車競争や剣闘士の決闘といった壮絶な催しが行われ、集まった無数の観衆が熱狂の渦に巻き込まれました。作曲家は、こうした古代の競技に興奮する大衆の姿と、現代社会において、膨大な数のテレビチャンネルからショーを選んで受動的に消費する我々視聴者の姿との間に、ある種の類似性を見出しました。この作品は、その二つの時代の群集心理を対比させ、あるいは重ね合わせる試みとして書かれています。

音楽的な特徴として特筆すべきは、その大胆な音響設計にあります。単一のステージ上の吹奏楽編成にとどまらず、聴衆を取り囲むように配置されたバンダ（サラウンド・バンド）、さらには空間を行進するマーチングバンドという、複数の演奏グループが用いられています。これにより、音があらゆる方向から聴こえてくるような、立体적かつ没入感のあるサウンド空間が創出されています。この多層的な配置は、古代の競技場の喧騒や現代のメディアの氾濫といった作品のテーマを効果的に表現するために不可欠な要素となっています。

作品の意義

コリリアーノは、1972年に作曲したピアノ連弾曲を1974年に吹奏楽用に編曲した「ガジボー舞曲」を手がけていますが、吹奏楽のためにオリジナル作品として作曲したのは、この交響曲第3番『キルクス・マクシムス』が初めてのことです。その規模と革新的なアプローチにより、吹奏楽のレパートリーにおいて重要な位置を占める作品となっています。

編成

この作品では、演奏グループが空間的に配置されます。

ステージ・バンド：主となる吹奏楽編成
サラウンド・バンド：聴衆席を取り囲むように配置されるバンダ
* マーチング・バンド：空間を行進しながら演奏するグループ

構成

作品は、以下の8つの楽章から構成されており、すべての楽章は切れ目なく続けて演奏されます。

1. 入祭唱
2. スクリーン/セイレン
3. チャンネル・サーフィン
4. 夜の音楽1
5. 夜の音楽2
6. キルクス・マクシムス
7. 祈り
8. 終曲：真理

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