連弾

連弾とは

連弾とは、一台の鍵盤楽器を複数人で同時に演奏する形態を指します。多くの場合、一台のピアノを二人で演奏することを指し、四手連弾とも呼ばれます。ピアノは通常、一人で両手を使って演奏するように設計されていますが、鍵盤の幅が広く、二人でも十分に演奏可能です。そのため、連弾用の楽曲も数多く作曲されています。

概要

ピアノは、鍵盤の幅が広く、標準で88の鍵盤を備えているため、二人で同時に演奏することが可能です。このため、独奏曲ほど多くはありませんが、数多くの連弾曲が作曲されてきました。3人以上の奏者で演奏されることもあり、その場合は、用いる手の数によって、六手連弾や八手連弾などと呼ばれます。例えば、ラフマニノフの《ワルツ》や《ロマンス》は六手連弾、ラヴィニャックの《ギャロップ行進曲》は八手連弾の例です。

一方、2人が2台のピアノで演奏する場合は、ピアノ二重奏や2台ピアノと呼ばれます。2台ピアノのための作品をそのまま連弾で演奏することは難しいですが、連弾のために書かれた作品を2台ピアノで演奏することは可能です。また、2台のピアノを4人で演奏する「二台八手」という形態も存在します。スメタナの《ソナタ断章》や《青春のロンド》などがその例です。

演奏形態

連弾では、高音側（鍵盤に向かって右側）に第1奏者（プリモ）、低音側（左側）に第2奏者（セコンド）が座り、音域を分担して演奏します。通常、ペダルの操作は第2奏者が担当します。楽譜は、見開きの右側に第1奏者のパート、左側に第2奏者のパートがそれぞれ独立して印刷されていることが多いです。

第1奏者は主に高音域を、第2奏者は主に低音域を担当しますが、中音域では第1奏者の左手と第2奏者の右手が交差することも珍しくありません。このような動きが視覚的な面白さを生み出すこともあります。さらに極端な例では、二人羽織のように、一方が他方に覆いかぶさるようにして、低音域と高音域の両方を演奏するケースもあります（アレクサンドル・ローゼンブラットの《2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ》など）。

3人以上での連弾の場合、高音側から順に第1奏者、第2奏者、第3奏者…となり、ペダルの操作は最も低音側の奏者が担当します。

レパートリー

連弾のために作曲された主な作品としては、以下のものがあります。

モーツァルト：ピアノ連弾ソナタ（6曲：未完含む）
チェルニー：華麗なる大ソナタ
シューベルト：軍隊行進曲（3曲）、ソナタ ハ長調『大二重奏曲』D.812、幻想曲 ヘ短調 D.940
ブラームス：ハンガリー舞曲集
ドヴォルザーク：スラヴ舞曲集
ビゼー：「子供の遊び」
フォーレ：組曲「ドリー」
ドビュッシー：小組曲、スコットランド行進曲、6つの古代碑銘
ラヴェル：組曲「マ・メール・ロワ」

また、ピアノ学習者のために、一方のパートが易しく書かれ、もう一方を教師などの上級者が担当する作品も多く存在します。ディアベリはこの形式の作品を多く残しており、連弾初心者のための定番レパートリーとなっています。

オーケストラなどからの編曲

ピアノは広い音域を持つ楽器であり、4つの手で演奏することで、より多くの音を同時に奏でることが可能です。そのため、オーケストラ曲など、広い音域や多数のパートからなる楽曲を連弾に編曲することが古くから行われてきました。

録音技術がなかった時代には、連弾はオーケストラ曲を家庭で楽しむための重要な手段でした。また、オペラやバレエの稽古でオーケストラ伴奏の代わりが必要な場合にも、連弾が利用されました。リストがオーケストラ曲をピアノ独奏に編曲したように、連弾にも単なる代用品にとどまらない芸術性や高い演奏効果を備えた編曲が多く存在します。

連弾のために作曲された作品をオーケストレーションしたり、その逆もまた然りで、オーケストラとの親和性の高さから、連弾や2台ピアノのために作曲したものを管弦楽曲にすることもよくあります。

主な連弾アーティスト

以下に、連弾で活躍する主なアーティストを挙げます。

中村姉妹
仲道姉妹（仲道郁代・仲道祐子）
花房姉妹（花房晴美・花房真美）
レ・フレール
Jumelles CHIHIRO & MICHIRU
ラベック姉妹
Duetwo（デュエットゥ）
プリムローズ・マジック（石岡久乃・安宅薫）
コンタルスキー兄弟
デュオ・クロムランク
ピアノデュオ・クトロヴァッツ
ザイラー・ピアノ・デュオ
ピアノデュオ・ラフェリ（竹添歩・金沢昭奈）
鍵盤男子（大井健・中村匡宏）
NIRA（藤崎ふみ・藤崎しおり）
Kitri（キトリ）
ごぼう（青木沙耶花・山﨑友里）
* Rhythm Trick（リサ・ひかりん）

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