交響曲第4番 (スタンフォード)

チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォードが作曲した交響曲第4番 ヘ長調 作品31は、彼の創作活動において重要な位置を占める作品の一つです。全4楽章から構成され、演奏時間は約44分を要します。

概要

スタンフォードは、その前作である交響曲第3番が国際的な場で高い評価を得たことを背景に、この第4番の初演をドイツのベルリンで行う確約を取り付けました。作曲は1888年6月4日にケンブリッジで開始され、同年7月31日にはダブリンで完成に至っています。約束通り、この作品は1889年1月14日にベルリンにおいて、作曲者自身の指揮のもと初演されました。その後、同年2月23日にはロンドンの水晶宮にて、オーガスト・マンスの指揮によりイギリス初演が実現しています。しかしながら、先行する交響曲第3番が獲得したような圧倒的な成功や評価を、この第4番は残念ながら得ることはできませんでした。楽譜の冒頭には、作品全体の性格や背景を示唆するモットーが付されています。

楽曲構成

本作品は以下の4つの楽章で構成されています。

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・ジョジョーソ ヘ長調 3/4拍子

ソナタ形式を採用しています。楽章の冒頭から、若々しく躍動的な性格を持つ主要主題が登場します。これに続く第2主題は、落ち着いた雰囲気の中に生命力を感じさせるものです。これら二つの主題は、展開部において対照的に、あるいは組み合わされて巧みに展開されます。その後、再現部を経て、楽章は力強いコーダで閉じられます。

第2楽章 インテルメッツォ アレグレット・アジタート - トランクウィロ・マ・リステッソ・テンポ イ短調 6/8拍子

この楽章はインテルメッツォ（間奏曲）として位置づけられています。開始部では、内なる情熱を秘めたような主題が奏でられます。中間部に入ると、これまでの雰囲気から一転し、優しく流れるような叙情的な旋律が耳に届き、楽章に穏やかな彩りを添えます。

第3楽章 アンダンテ・モルト・モデラート ニ短調 4/4拍子

緩徐楽章にあたります。弦楽器群が複雑に絡み合いながら、悲痛な響きを持つ主要主題を提示します。続いて現れる第二の主題は、救いや希望を思わせるような明るさを帯びています。楽章の結びにあたるコーダでは、後に続く終楽章の歓喜に満ちた雰囲気を予感させるかのような高揚が準備されます。

第4楽章 フィナーレ アレグロ・ノン・トロッポ - マエストーソ ヘ長調 2/2拍子

ロンド形式で書かれた終楽章です。この楽章では、対位法の高度な技法を駆使しながら、三つの異なる主題が展開されます。全体としては、開放感に満ちた喜びに彩られた内容となっています。しかし、この楽章の明るく祝祭的な雰囲気と、楽譜冒頭に付されたモットーとの間に内容的な不一致があるとの指摘も存在する興味深い点です。壮大かつ堂々たる雰囲気のうちに、全曲の終止符が打たれます。

もう一度検索