交響曲第4番 (ハンソン)

ハワード・ハンソン作曲の交響曲第4番『レクイエム』作品34は、作曲家が父の死を悼み、1943年に完成させた作品です。ハンソンの作品群の中でも、特にロマンティックな色彩が濃いことで知られています。各楽章は、第2楽章を除き、レクイエム（死者のためのミサ）の典礼文から選ばれたテキストに基づいて構成されており、全体としてエレジー（哀歌）のような雰囲気を醸し出しています。

初演は1943年12月3日、作曲者自身の指揮、ボストン交響楽団の演奏によって行われました。その翌年、1944年には、この交響曲は音楽におけるピューリッツァー賞を受賞し、ハンソンの代表作としての地位を確立しました。ちなみに、初演時のプログラムノートは、ハンソンの弟子であった作曲家、ウィリアム・バーグスマが執筆しています。

構成

この交響曲は、以下の4つの楽章で構成されています。

第1楽章：Kyrie (Andante inquieto)
キリエ（主よ、憐れみたまえ）の主題が、第1主題と第2主題の中に現れます。楽章の最後、コーダの前には、コラール（賛美歌）風の動機が提示され、静かに終わります。

第2楽章：Requiescat (Largo)
「安らかに眠れ」を意味するこの楽章は、独奏ファゴットによって奏でられる印象的な主題で開始されます。静寂の中に、深い哀悼の念が込められています。

第3楽章：Dies irae (Presto)
「怒りの日」を意味するこの楽章は、激しい感情が爆発するような音楽です。レクイエムの中でも最も劇的な部分であり、ハンソンのオーケストレーションの才能が発揮されています。

第4楽章：Lux aeterna (Largo pastorale)
「永遠の光」を意味するこの楽章は、穏やかなパストラーレ（田園風）の音楽で、安らぎと希望に満ちています。全曲を締めくくる、慰めに満ちた美しい楽章です。

参考文献

* CD解説：（シュワルツ指揮 シアトル交響楽団）Delos

この交響曲は、単なる追悼の音楽にとどまらず、人間の普遍的な感情、すなわち悲しみ、怒り、そして希望を表現した傑作と言えるでしょう。ハンソンの音楽に対する深い理解と、卓越した作曲技術が結実した作品として、後世に語り継がれるべき作品です。

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