交響曲第4番 (ヴィラ＝ロボス)

交響曲第4番「勝利」（A Vitória）

ブラジルの作曲家エイトル・ヴィラ＝ロボスが1919年に作曲した交響曲第4番は、「勝利」（A Vitória）という標題を持ちます。この作品は、評論家ルイス・ガスタン・デスクラニョール・ドリアの論考に着想を得た標題付き三部作の第2作目にあたります。三部作は、前作の交響曲第3番「戦争」、本作「勝利」、そして後に続く交響曲第5番「平和」で構成されます。また、この交響曲は、ヴィラ＝ロボスがフランスの作曲家ヴァンサン・ダンディの構成手法を取り入れたとされる一連の交響曲群の4番目の作品としても位置づけられています。

作曲と初演の経緯

本作の作曲は1919年10月、リオデジャネイロで開始されました。完成後、1920年9月にはリオデジャネイロ市立劇場で初演が行われました。初演は作曲者ヴィラ＝ロボス自身の指揮により、市立歌劇場管弦楽団が演奏を担当し、三部作の第3番「戦争」と同時に披露されています。ヴィラ＝ロボスは晩年、この作品の公式録音を残しました。1955年6月、パリの Salle de la Mutualité にて、フランス国立管弦楽団とセッションを行い、自身の解釈を記録しています。

楽器編成

この交響曲は、ヴィラ＝ロボスならではの大規模で多彩な楽器編成が特徴です。通常の管弦楽編成に加え、独立したブラスバンドや特定の楽器によるコンチェルティーノ的なパートもスコアに含まれています。標準的なオーケストラ楽器に加えて、様々な種類のサクソフォーンや、シストラム、スレイベル、ショーカリョ、フレームドラムなどのブラジル音楽を思わせる多様な打楽器が用いられます。木管バンドやコンチェルティーノ合奏として指定されるパートは、作品に厚みと独特の響きを与えています。

楽曲構成

交響曲第4番は以下の4つの楽章で構成され、作曲者自身の演奏では約30分強の時間を要します。

第1楽章：Allegro impectuoso 〔ママ〕
第2楽章：Andantino
第3楽章：Andante
第4楽章：Lento – Allegro

楽曲全体の構成において、ヴィラ＝ロボスは循環形式を採用しています。第1楽章で提示される主要主題は、その後の全ての楽章に様々な形で再び登場します。この手法は、各楽章間の有機的な繋がりを生み出し、作品全体に統一感をもたらす上で重要な役割を果たしています。「勝利」という標題のもと、苦難を経て目標へと向かう音楽的な物語性を強調するかのようです。

なお、この作品には交響曲第3番「戦争」から主題が引用されているとの見解が見られますが、これは誤りであるとされています。三部作の一部ではありますが、音楽的な主題の直接的な引用によって関連付けられているわけではありません。この交響曲第4番は、独自の音楽的展開と構造を持つ作品です。

もう一度検索