フランス国立管弦楽団

フランス国立管弦楽団（Orchestre national de France）は、パリ管弦楽団と並び、フランスを代表するオーケストラの一つとして知られています。本拠地はパリのラジオ・フランス・オーディトリアムです。名称が似ているイル・ド・フランス国立管弦楽団や、同じくラジオ・フランスが運営するフランス放送フィルハーモニー管弦楽団と混同されることがありますが、これらは設立当初から全く別の団体です。

歴史

フランス国立放送管弦楽団時代

1934年2月18日、当時の郵政大臣ジャン・ミストラーの提唱により、フランス国立放送専属のオーケストラとして創立されました。当初の名称は「フランス国立放送管弦楽団（Orchestre national de la radiodiffusion Française）」でした。初代首席指揮者にはデジレ＝エミール・アンゲルブレシュトが迎えられ、活動を開始しました。1948年には、シャルル・ミュンシュの指揮で6週間のアメリカ演奏旅行を行いました。

1964年以降は、「Orchestre national de l'ORTF」（ORTF＝フランス放送協会）と名称を変更。1966年には、シャルル・ミュンシュとジョルジュ・セバスティアンの指揮で初来日を果たしました。1974年10月には創立40周年を迎え、セルジュ・チェリビダッケ指揮、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリのピアノ独奏による記念コンサートを開催しました。コンサートや放送、録音のほか、オランジュ音楽祭などのオペラ公演にも参加し、経験を積んでいます。

フランス国立管弦楽団時代

1975年、フランス放送協会（ORTF）の組織が7つに分割され、ラジオ・フランスに運営が移管されたことに伴い、「フランス国立管弦楽団（Orchestre national de France）」と改称しました。セルジュ・チェリビダッケが初代音楽監督に就任しましたが、1年足らずで辞任。その後は常任の指揮者を置かず、レナード・バーンスタインやロリン・マゼールが中心となって活動を続けました。1977年にはマゼールが首席客演指揮者に就任し、翌1978年にはこのコンビで来日公演を行いました。

特徴

放送局が運営するオーケストラということもあり、現代作品の演奏にも積極的で、幅広いレパートリーを持っています。また、歴代の首席指揮者や音楽監督がフランス音楽を得意としていたことから、フランス音楽の録音で高い評価を得ています。特に、ジャン・マルティノンとのドビュッシーの管弦楽曲全集、サン＝サーンスの交響曲全集、ロリン・マゼールとのラヴェルの管弦楽曲集、シャルル・デュトワとのルーセルの交響曲全集などは、名盤として知られています。

歴代の主な指揮者

デジレ＝エミール・アンゲルブレシュト（1934年 - 1946年、1951年 - 1958年）
マニュエル・ロザンタール（1946年 - 1950年）
ロジェ・デゾルミエール（1950年 - 1951年）
モーリス・ル・ルー（1960年 - 1968年）
ジャン・マルティノン（1968年 - 1974年）
セルジュ・チェリビダッケ（首席客演指揮者：1973年 - 1975年、音楽監督：1975年）
ロリン・マゼール（首席客演指揮者：1977年 - 1987年、音楽監督：1988年 - 1990年）
シャルル・デュトワ（音楽監督：1991年 - 2001年）
クルト・マズア（音楽監督：2002年 - 2008年、名誉音楽監督：2008年 - ）
ダニエレ・ガッティ（2008年 - 2016年）
エマニュエル・クリヴィヌ（2017年 - 2020年）
クリスティアン・マチェラル(英語版)（音楽監督：2020年9月 - ）

フランス国立管弦楽団は、その長い歴史の中で、数多くの名演と名録音を生み出してきました。今後もその活動から目が離せません。

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