交響曲第7番 (シューベルト)

交響曲第7番 ロ短調 D759：シューベルトの未完成の傑作

フランツ・シューベルトの交響曲第7番、ロ短調D 759は1822年に作曲され、未完成として知られています。本作は一般に「未完成交響曲」として愛され、シューベルトの代表的な作品の一つです。進化した交響曲のスタイルを代表するこの曲は、ベートーヴェンの『運命』やドヴォルザークの『新世界より』と並び、人気を博しています。特に昔のレコード業界では、この2つの作品がセットで広く販売されていました。

作曲の背景

シューベルトは、わずか25歳で名誉ディプロマを受け取った際にお礼として交響曲を作曲することを決意しました。しかし、彼が送付したのは第1楽章と第2楽章のみで、残りの楽章は完成しませんでした。その後、シューベルトは別の交響曲（ハ長調D 944）の作曲に取り掛かり、ロ短調の交響曲を完成させる前にこの世を去りました。彼の名声が高まった後の1865年に、残された2楽章が初めて演奏されました。この時、シューベルトはすでに名作の作曲家として認知されていました。

楽章構成

交響曲は通常、4つの楽章から構成されますが、シューベルトのこの作品は第1楽章と第2楽章のみしか完成されていません。彼はスケッチとして第3楽章を作成しましたが、その先には進みませんでした。なぜこの未完成の状況に至ったのか、いくつかの説があります。ある説では、リズムパターンが原因で第3楽章が冗長になると判断したと言われています。一方で、シューベルトは第2楽章だけでも芸術的価値があると考え、他の部分は不要と判断したのかもしれません。また、シューベルトは未完成の作品を残すことが多い作曲家であったため、未完成という状態自体が意図的であったという見方もあります。

未完成の理由

シューベルトが未完成の作品を残した背景には、様々な要因が考えられます。彼が別の作品に使用するため、楽譜を楽友協会に返還したという説も有名です。実際に、第3楽章には彼が残したスケッチがあるものの、完全な形ではなく、他の音楽作品を流用するための計画的な中断だった可能性があります。このようにシューベルトの創作の場には、計画したが実現しなかった意味ある未完成が多く散見されます。

補筆の試み

シューベルトが残したスケッチから、第3楽章をオーケストレーションした補筆版はいくつか存在します。また、第4楽章はシューベルトの劇音楽『ロザムンデ』の間奏曲を元にしているという意見もあります。20世紀の名指揮者であるフェリックス・ワインガルトナーは、補筆の過程でこの未完成の交響曲を自作に利用しました。最近では、人工知能を用いた補筆の試みも行われましたが、完成した曲がシューベルト的ではなく、他のスタイルに見えるという批評も受けました。

楽器編成

曲の演奏にはフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、ティンパニ、弦五部が使用されます。シューベルトの特徴的なフレーズやハーモニーにより、独特な響きを持っており、聴く者を魅了します。

各楽章の詳細

第1楽章

第1楽章はアレグロ・モデラートであり、特に「ロ-嬰ハ-ニ」というテーマが印象的です。このテーマは楽章全体にわたり支配的に扱われ、オーケストラ全体の力強さを示しています。シューベルト独自のメロディーが展開し、聴く者を引き込む展開がなされます。

第2楽章

第2楽章はアンダンテ・コン・モートとして、穏やかでメロディックな響きを持つホ長調で作られています。この楽章は特に美しさと感動を与え、シューベルトの音楽の神髄を伝えています。

第3楽章（未完）

第3楽章はアレグロとしてスケッチが残っていますが、ほとんどの部分が未完結です。シューベルトのアイデアの断片が見える魅力的な部分となっていますが、完全な形では演奏されることはありません。

第4楽章

第4楽章は、いくつかの補筆完成版が存在しますが、シューベルトが意図したものかどうかは議論の余地があります。しかし、いずれにせよ『未完成交響曲』として、シューベルトの音楽的感性が結実した名曲です。

未完成であることが逆にこの交響曲の魅力となっているとも言えます。シューベルトの未完成作品の一つとして、彼の音楽は今なお多くの人々に愛されています。

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