交響曲第9番 (グラズノフ)

交響曲第9番ニ短調の概要

アレクサンドル・グラズノフによる交響曲第9番ニ短調は、1910年に作曲が試みられましたが、未完成のまま終わりました。この交響曲は、彼の作曲活動の中で重要な位置を占めており、特に第1楽章だけが残されています。この楽章は、ピアノのスケッチという形で存在し、正式な楽譜は完成されていません。

未完成の原因

交響曲が未完成に終わった理由には、グラズノフがペテルブルク音楽院の院長として非常に多忙であったことが大きく影響しています。彼の職務の合間を縫って音楽創作を行うことは簡単ではなかったと推察されます。さらに、グラズノフには飲酒習慣があったため、その影響も考えられています。これらの要因が重なり、未完の作品として残されてしまったのです。

スケッチのその後

グラズノフは1928年にフランスに移住し、1936年に他界しますが、彼の残したスケッチはソ連に保管されました。その後、第二次世界大戦を経て、1948年に作曲家で指揮者のガヴリイル・ユーディンがこのスケッチを基にオーケストレーションを行いました。ユーディンの手によるこの作品の初演は、1948年5月7日に全ソビエト連邦ラジオ放送連盟交響楽団によって行われました。

初演とその意義

翌月の7月13日には、ユーディン自身が指揮をとるレニングラード・フィルハーモニー交響楽団によって公開初演が行われました。この演奏はロシアのキスロヴォツクで開催され、多くの音楽愛好者にとって記憶に残る瞬間となりました。その後、ユーディンは1986年にこの作品に対して改訂を施し、さらなる魅力を引き出すべく努力しました。

楽曲構成と楽器編成

この交響曲は、実質的には第1楽章のみで構成されており、その持ち時間は約10分に及びます。第1楽章は「アダージョ―アレグロ・モデラートーアダージョ」というつくりで、ニ短調の序奏に始まり、ソナタ形式で構成されています。楽章の終わりは、序奏が再現される形でコーダを迎えます。

アンサンブルの具体的な楽器編成については詳細が公開されていませんが、グラズノフの作品らしく豊かな色彩感を持った響きが期待されます。

録音の例

この交響曲は、いくつかの録音が存在しています。例えば、アレクサンドル・アニシモフ指揮によるモスクワ交響楽団の演奏や、ホセ・セレブリエール指揮で演奏されたロイヤル・スコティッシュ管弦楽団の録音が有名です。これらの録音は、作品の魅力を引き出す一助となっています。

資料の入手

楽譜は、作曲家の友人であるベリャーエフから入手可能です。彼はグラズノフの作品を広めることに尽力した重要な人物でもあります。

外部リンク

さらに詳しい情報を得るには、アレクサンドル・アニシモフの公式アカウントによるモスクワ交響楽団の演奏をYouTubeにて視聴することができます。これにより、作品の音楽的な魅力を体験し、理解を深めることができるでしょう。

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