交響曲K.19a

交響曲 ヘ長調 K. Anh. 223 (19a)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1765年頃にロンドンで作曲したと見られるこの交響曲は、交響曲の中でも特異な位置を占めています。特にその作曲時期が彼の若き日にあたることから、モーツァルトの音楽の発展において重要な作品と考えられています。今は失われたこの交響曲については、1980年にレオポルト・モーツァルトによる写譜が発見されるまで詳しいことは知られていませんでした。

この写譜の表紙には、作品がモーツァルトが9歳のときに作曲されたことが記されていました。しかし、レオポルトは自分の息子を実際の年齢よりも若く宣伝することがあったため、この情報から作曲年代を確定することには慎重さが求められます。1980年以前、楽曲の存在はブライトコプフ・ウント・ヘルテル社のアーカイブや、『交響曲第4番 ニ長調 K. 19』の表紙に記されたインキピットのみで知られていました。興味深いことに、この表紙は現在も見つかっていない『交響曲 ハ長調 K. Anh. 222 (19b)』のものでもありました。

この交響曲は、1765年の2月21日か5月13日に、ロンドンのヘイマーケット・シアターで行われた演奏会で初めて演奏されたと考えられています。約16年後、1981年3月23日には、ミュンヘンのノイエ・ピナコテークが新たに開館するのに合わせてこの曲の再演が行われました。これは歴史的な瞬間となり、長らく失われていた作品が再び光を浴びることとなったのです。

楽器編成

交響曲のオリジナルの楽器編成は、オーボエが2本、ホルンも2本、そして弦楽合奏です。しかし、現代のオーケストラで演奏する際には、低音域を強化するためにファゴットやハープシコードを加えることが一般的とされています。特に第2楽章では、オーボエのパートは全休止となっている点が特徴的です。

楽曲構成

この交響曲は全3楽章から構成されており、演奏に要する時間は約12分から14分となっています。また、楽曲にはヨハン・クリスティアン・バッハの影響が見て取れる部分もあります。

1. 第1楽章 アレグロ・アッサイ
ヘ長調、4分の4拍子で、ソナタ形式になっています。

2. 第2楽章 アンダンテ
変ロ長調、4分の2拍子による二部形式です。

3. 第3楽章 プレスト
ヘ長調、8分の3拍子で、ロンド形式をとっています。

このように、モーツァルトの交響曲ヘ長調 K. Anh. 223 (19a)は、その作曲背景や楽曲構成から、非常に興味深い作品として今なお研究が続けられています。

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