享保の大飢饉

享保の大飢饉



享保の大飢饉(きょうほうのだいききん)は、江戸時代中期に発生した飢饉であり、江戸四大飢饉の一つとして知られています。この飢饉は、特に福岡県を中心に深刻な影響を及ぼしました。

背景と原因


享保年間(1716年-1736年)の筑前国筑後国では、気象条件の変化による凶作が続いていました。1720年の洪水や1724年の風水害、1726年の旱魃、1729年の旱魃洪水と、これらの自然災害は農業生産に大きな打撃を与えました。特に久留米[[藩]]領では、洪水によって甚大な被害が発生し、村々の多くが被害を受けました。

1731年末から1732年にかけて、天候は悪化し、特に麦の不作が問題となりました。加えて、福岡[[藩]]領内で牛馬の疫病が流行したことにより約4,000頭の牛馬が死亡し、耕作の能力も大きく低下しました。さらに害虫の繁殖や冷夏により、各地の作物は壊滅的な被害を受けました。

飢饉の影響


この飢饉によって、全国の46のに影響が及び、特に西日本では収穫量が著しく減少しました。例えば、236万石の総石高を誇る46が、この年にはわずか63万石の収穫に留まり、推定1万2,000人が餓死に至りました。さらに、江戸・大坂・京都などの都市には多くの飢餓民が流入しました。

福岡[[藩]]の773村の中で、年間の年貢を収められたのはわずか26村に過ぎず、農民たちの苦境は深まる一方でした。また、1732年の夏には、飢饉によって約7万人から10万人が餓死したとの報告もあります。

対策と救済


飢饉が深刻化する中、江戸幕府や福岡[[藩]]は様々な経済対策を講じました。米価の高騰に対しては、幕府が米価引き下げ政策に転じ、また大名からも資金の貸与や年貢免除などの措置がとられました。福岡[[藩]]では、再建策として米供出制度が導入され、減税や農村復興のための制度も整備されました。

また、吉宗は富裕層に対して飢餓民の救済を促すとともに、虫害対策のための祈祷を行ったりもしました。施粥のために商人らが義援金を集める活動もありました。福岡城下では施粥の行われる場所も増え、多くの人々が協力して飢餓対応を行いました。

甘藷の栽培とその普及


飢饉対策として注目されたのが、甘藷(サツマイモ)の栽培でした。特に、大三島の地域ではこの作物によって餓死者が出ることはなく、他の地域でも次第に栽培が広がりました。幕府も米以外の作物を奨励し、甘藷の栽培は日本各地に広がり、多くの地域で新たな農業の可能性を生み出しました。

歴史的意義


享保の大飢饉は、日本の経済、社会に大きな影響を与えただけでなく、後の農業政策にも変化を促しました。この飢饉を受けて、農村の再建策や食糧政策が見直され、飢饉に対する備えが重要視されるようになりました。現在でも、この時期の飢饉に由来する地蔵尊や供養塔が各地で見られ、当時の人々の苦しみを思い起こさせる存在となっています。

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