筑後国

筑後国の概要

筑後国（ちくごのくに）は、かつて日本の地方行政区分の一つであり、令制国の中では西海道に属していました。現在の福岡県南部にあたる地域に位置し、7世紀末にはその成立が確認されています。

地理的な範囲

明治維新前の筑後国の範囲は、福岡県内の筑後地方に相当し、以下の市町が含まれていました：

• - 小郡市
• - 久留米市
• - 柳川市
• - 大牟田市
• - 筑後市
• - みやま市
• - 三井郡大刀洗町
• - 八女市
• - 大川市
• - うきは市
• - 八女郡広川町
• - 三潴郡大木町

歴史的沿革

筑後国は、筑紫国の分割により7世紀末に成立しました。戦国時代には、大友氏が筑後の守護を務めていましたが、実際には「筑後十五城」と称される国人領主たちが地域を支配し、北部や南部でそれぞれ別の大名が勢力を持っていました。江戸時代に入ると、筑後北部では有馬氏が久留米藩を形成し、南部の柳川市などは立花氏の柳河藩に属しました。

近世の沿革

明治初年には、「旧高旧領取調帳」によって筑後国の支配状況が記録されています。具体的には、三潴郡や山門郡、三池郡など、さまざまな藩によって分割統治されていました。明治4年の廃藩置県により、久留米県、柳河県、三池県が設置され、最終的には明治9年に全域が福岡県に統合されました。

重要な施設

筑後国には国府が存在し、御井郡に位置していました。国府の詳細は、江戸時代の学者・矢野一貞によって強く推察されたもので、1961年には阿弥陀遺跡の発掘調査が行われ、国庁の存在が確認されました。国庁は、時代によって異なる位置に設置され、以下の4期に分かれています:

• - I期: 7世紀後半、古宮・田代遺跡に設置
• - II期: 8世紀半ばに阿弥陀遺跡へ移転
• - III期: 10世紀前半に朝妻遺跡へ移転
• - IV期: 11世紀後半に横道遺跡へ移転

また、筑後国には国分寺や国分尼寺も存在しており、国分寺跡は久留米市にあり、講堂跡や塔跡が確認されています。一方、尼寺跡は場所が明確ではありませんが、僧寺跡の近くに位置していると推測されています。

神社と式内社

筑後国には多くの神社があり、『延喜式神名帳』にも複数の式内社が記載されています。具体的には、高良玉垂命神社や豊比咩神社などが名神大社として知られています。また、筑後国では一宮や総社式の神社も存在し、地域の宗教的中心としての役割を果たしていました。

戦国時代と名将たち

戦国時代には、筑後地方で大名が登場しました。特に、蒲池氏は大友氏に仕えながらもトップの地位を占めており、後に龍造寺隆信によって滅ぼされました。その他にも、筑後国では名将たちが活躍し、歴史的な舞台となりました。

まとめ

筑後国は、日本の歴史において重要な役割を果たした地域であり、地方行政区画としてもさまざまな変遷を経て発展しました。地域の国府や寺院、神社の遺跡は、かつての文化や信仰を今に伝えています。

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