京成モニ5形電車

京成モニ5形電車は、かつて京成電鉄で使用されていた電動貨車です。1926年（大正15年）に雨宮製作所で5 - 7の3両が製造されました。京成の木造車体の車両の中では最後まで残った車両であり、1974年（昭和49年）まで現役で使用されていました。

概要

モニ5形は木造無蓋電動貨車で、両運転台構造が特徴です。運転室以外の部分は荷台となっており、作業員用の控室は設置されていません。運転台上部にはパンタグラフを設置するスペースがないため、パンタグラフは運転室上部から突き出た専用の台に取り付けられていました。荷台の両端には作業用のライトが設置されています。

数奇なモニ7の車歴

モニ5形の中でも7は、特異な経歴を持っています。1938年（昭和13年）に39形43の車体に載せ替えられ、有蓋電動貨車（実質的に荷物車）となりました。戦後、1947年（昭和22年）に高砂車庫で発生した火災により炎上し、車体が焼失してしまいます。しかし、1948年（昭和23年）に木造車体を新造し、廃車発生品の機器を一部流用した上で銚子電気鉄道に譲渡されました。

銚子電気鉄道ではデハ200形201となり、1979年（昭和54年）にデハ700形に代替されるまで使用されました。実質的に移動したのは台枠のみですが、子会社以外の鉄道会社への譲渡が殆どない京成にとっては極めて珍しい事例となりました。

5・6の用途・廃車

モニ5形5と6は、配給輸送や非常時の救援、車両牽引などに使用されていました。戦時中はサツマイモなどの配給食料の輸送にもあたっていたことがあります。末期は主に2両編成を組んで走行していたようです。モニ7以外の5と6は老朽化のため、1972年（昭和47年）に6、1974年に5がそれぞれ廃車され、形式消滅となりました。

モニ5形は、京成電鉄の歴史を語る上で欠かせない存在であり、そのユニークな構造や数奇な運命を辿った車両があったことは、特筆に値します。

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