京極高宣

京極高宣（きょうごくたかのぶ）について

プロフィール

京極高宣は、1942年生まれの日本の社会福祉学者です。国立社会保障・人口問題研究所の所長や社会福祉法人浴風会の名誉理事長、日本社会事業大学の教授・学長などを歴任しました。社会福祉学の分野で多大な貢献をされており、その研究や著作を通じて、日本の社会福祉の発展に大きく寄与しています。

略歴

東京都出身で、東京大学農学部を卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程を退学されました。その後、日本社会事業大学の専任講師、助[[教授]]を経て、厚生省（現在の厚生労働省）社会局の専門官を務められました。1991年には日本社会事業大学社会福祉学部長に就任し、1995年からは学長として大学の発展に尽力されました。

社会福祉分野での活動

京極高宣は、厚生労働省社会保障審議会障害者部会長や内閣府の懇談会座長、長寿社会文化協会の会長など、多くの公職を歴任しています。また、福祉法人経営学会の会長も務めるなど、社会福祉分野の発展に貢献されています。

障害者自立支援法に関する見解

障害者自立支援法において、障害者のサービス利用料の原則1割負担について、「利用者負担はサービスに対する料金ではなく使用料」という見解を示し、その必要性を主張しました。この意見は、研究所所長としての公式見解ではなく、あくまで個人的な見解であるとされています。しかし、この法律に対しては、施行後にさまざまな問題が噴出し、廃止が決定されました。また、全国各地で訴訟が提起され、政府との間で基本合意がなされました。

論文盗用疑惑

2010年には、朝日新聞に論文盗用疑惑を報道されました。記事によれば、京極高宣が1986年から1987年に発表した論文において、国会図書館調査員の論文をほぼ丸写しし、さらに補助金を受けていた研究事業の報告書にも使い回していたとされています。この報道に対し、京極高宣は事実無根と主張し、朝日新聞社を提訴しましたが、後に和解が成立しました。

著書

京極高宣は多数の著書を執筆しており、以下にその一部を列挙します。

『市民参加の福祉計画高齢化社会における在宅福祉サービスのあり方』（1984年）
『長寿社会の戦略市民参加型福祉経営のあり方』（1987年）
『福祉専門職の展望福祉士法の成立と今後』（1987年）
『明日の福祉をめざして』（1987年）
『老いを考える明日のライフデザイン』（1990年）
『現代福祉学の構図』（1990年）
『日本の福祉士制度日本ソーシャルワーク史序説』（1992年）
『高齢者ケアを拓く』（1993年）
『社会福祉学とは何か新・社会福祉原論』（1995年）
『福祉の経済思想厳しさと優しさの接点』（1995年）
『介護革命老後を待ち遠しくする公的介護保険システム』（1996年）
『介護保険の戦略 21世紀型社会保障のあり方』（1997年）
『少子高齢社会に挑む』（1998年）
『社会福祉をいかに学ぶか社会福祉教育研究の現状と課題』（2000年）
『社会福祉学小辞典』（2000年）
『京極高宣のぴかぴか対談』（2000年）
『この子らを世の光に糸賀一雄の思想と生涯』（2001年）
『21世紀型社会保障の展望』（2001年）
『儒教に学ぶ福祉の心『言志四録』を読む』（2001年）
『生協福祉の挑戦』（2002年）
『福祉社会を築く』（2002年）
『障害を抱きしめて共生の経済学とは何か』（2002年）
『児童福祉の課題』（2002年）
『京極高宣著作集』全10巻（2002-2003年）
『介護保険改革と障害者グランドデザイン新しい社会保障の考え方』（2005年）
『国民皆介護介護保険制度の改革』（2005年）
『動くとも亦悔无からん日本社会事業大学学長としての十年』（2005年）
『国民皆介護障害者自立支援法の成立』（2005年）
『障害者自立支援法の解説』（2005年）
『生活保護改革の視点三位一体と生活保護制度の見直し』（2006年）
『社会保障と日本経済「社会市場」の理論と実証』（2007年）
『新しい社会保障の理論を求めて社会市場論の提唱研究ノート』（2008年）
『障害者自立支援法の課題』（2008年）
『医療福祉士への道日本ソーシャルワーカーの歴史的考察』（2008年）
『生活保護改革と地方分権化』（2008年）
『最新障害者自立支援法逐条解説』（2008年）
『福祉サービスの利用者負担公共サービス料金の社会経済学的分析』（2009年）
『共生社会の実現少子高齢化と社会保障改革』（2010年）
『福祉書を読む』（2014年）
『新版福祉法人の経営戦略』（2019年）
『わが青春のマルクス主義』（2019年）
『現代福祉学の再構築』（2020年）

その他多数の共著、編著、翻訳書があります。

まとめ

京極高宣は、日本の社会福祉学の発展に大きく貢献した人物であり、その思想や業績は、現代の社会福祉政策にも大きな影響を与えています。特に、障害者自立支援法に関する議論や、論文盗用疑惑など、社会的な注目を集めた出来事もありましたが、その著作や活動を通じて、社会福祉の重要性を広く社会に訴え続けています。

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