京畿 (唐)

京畿（けいき）とは：唐代の行政区画

京畿は、中国の唐代に存在した行政区画の一つです。唐朝の中央政府が直接管轄する地域として、重要な役割を担いました。その成立と変遷、管轄地域について解説します。

京畿成立以前

618年、唐朝が成立すると、関隴（かんろう）、岷蜀（びんしょく）、河東（かとう）といった地域が中央直轄地区となりました。この初期の直轄地域は、15の州総管府と33の直属州を管轄する広大なものでした。

行政区画の再編と京畿の成立

しかし、627年（貞観元年）には、この直轄区域は関内道（かんないどう）、河北道（かほくどう）、河南道（かなんどう）、隴右道（ろううどう）の各道に分割され、一旦廃止されます。

その後、716年（開元4年）になると、再び京畿の州県が中央の直接管理地区となり、733年（開元21年）に正式に京畿が設置されました。

京畿が管轄した地域（618年段階）

618年段階で京畿直属地区として管轄された主な州は以下の通りです。

梁州（りょうしゅう）
信州（しんしゅう）
益州（えきしゅう）
秦州（しんしゅう）
涇州（けいしゅう）
弘州（こうしゅう）
霊州（れいしゅう）
豊州（ほうしゅう）
雲州（うんしゅう）
延州（えんしゅう）
雍州（ようしゅう）
商州（しょうしゅう）
均州（きんしゅう）
淅州（せきしゅう）
南豊州（なんほうしゅう）
上州（じょうしゅう）
洵州（じゅんしゅう）
金州（きんしゅう）
直州（ちょくしゅう）
南并州（なんへいしゅう）
通州（つうしゅう）
開州（かいしゅう）
隣州（りんしゅう）
渠州（きょしゅう）
蓬州（ほうしゅう）
静州（せいしゅう）
隆州（りゅうしゅう）
梓州（ししゅう）
始州（ししゅう）
竜州（りゅうしゅう）
利州（りしゅう）
鳳州（ほうしゅう）
* 趙州（ちょうしゅう）

これらの州は、政治・経済・軍事的に重要な地域であり、中央政府の直接的な支配下に置かれることで、唐朝の安定に大きく貢献しました。

参考資料

郭声波『中国行政区画通史』（復旦大学出版社、2012年）

もう一度検索