秦州

秦州（しんしゅう）は、中国の歴史において重要な役割を果たした州の一つで、現在の甘粛省天水市を中心とする地域に存在しました。その歴史は長く、晋代から民国初年にかけて、行政区画や名称の変遷を繰り返しました。

魏晋南北朝時代

秦州の起源は西晋時代に遡ります。269年（泰始5年）、西晋は雍州の隴右地域から、隴西郡、南安郡、天水郡、略陽郡、武都郡、梁州陰平郡、涼州金城郡の7郡を分割し、秦州を設置しました。これにより、この地域は独立した行政区画としての歴史を歩み始めました。しかし、282年（太康3年）には一時的に廃止され、雍州に併合されましたが、286年（太康7年）に再び秦州として復活しました。この時の秦州は、隴西郡、南安郡、天水郡、略陽郡、武都郡、陰平郡の6郡24県を管轄しました。北魏時代には、天水郡、漢陽郡、略陽郡の3郡12県を管轄し、北周時代には、天水郡、漢陽郡、略陽郡、清水郡、河陽郡の5郡8県を管轄していました。

隋代

隋代に入ると、秦州の行政区画はさらに変化しました。隋初には4郡6県を管轄していましたが、583年（開皇3年）に隋が郡制を廃止したことで、秦州の属郡は廃止されました。その後、607年（大業3年）に州が廃止され郡が置かれると、秦州は天水郡と改称され、6県を管轄するようになりました。この時期の行政区分は、隋代の統治体制の変化を反映しています。

唐代

唐代には、619年（武徳2年）に唐が薛挙を平定すると、天水郡は再び秦州と改められました。しかし、742年（天宝元年）には再び天水郡と改称され、758年（乾元元年）にはまた秦州に戻されました。この名称の変更は、当時の政治情勢や行政方針によるものでしょう。唐代の秦州は隴右道に属し、上邽、伏羌、成紀、隴城、清水の5県を管轄していました。

宋代

宋代に入ると、秦州は北宋時代には秦鳳路に属し、成紀、隴城、清水、天水の4県と、太平監、伏羌城、甘谷城、定西、三陽、弓門、静戎、安遠、隴城、鶏川の7寨、𢇲穣、冶坊、達隆の3堡を管轄しました。金の時代には、鳳翔路に属し、成紀、隴城、秦安、甘谷、冶坊、清水、鶏川、西寧の8県と、伏羌城、隴城、三陽、弓門の3寨、静戎、𢇲穣の2鎮を管轄しました。

元代

元代には、秦州は陝西等処行中書省に属し、成紀、秦安、清水の3県を管轄しました。この時期には、行政区画の再編が進み、秦州の管轄範囲は縮小されました。

明代以降

明代には、秦州は鞏昌府に属し、秦安、清水、礼の3県を管轄しました。1729年（雍正7年）には清朝により直隷州に昇格し、甘粛省に属し、秦安、清水、礼、徽、両当の5県を管轄するようになりました。しかし、1912年に中華民国が成立すると、秦州直隷州は廃止され、その歴史に幕を閉じました。

秦州は、その長い歴史の中で、中国の政治、経済、文化に大きな影響を与え、様々な時代の変遷を見てきました。その行政区画や名称の変遷は、各時代の政治情勢や統治体制を反映しており、歴史研究において重要な資料となっています。

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