京福バスターミナル

京福バスターミナル：福井市中心部の交通拠点としての歴史と終焉

京福バスターミナルは、福井県福井市中心部の大名町交差点に位置する福井県繊協ビルの1階に1966年12月開業した京福バスのターミナルでした。開業当初は福井バスターミナルという名称でしたが、繊協ビルや隣接するニューまるせん専門店街（旧ニューまるせんデパート）から「まるせん」という通称でも親しまれていました。

ターミナルは、一般路線バスを中心に、小松空港リムジンバス、高速バスなども発着していました。しかし、2009年5月22日、高速バスの発着場は福井駅東口ロータリーに移転し、乗車券発売所も福井駅周辺に移管されました。これは、福井駅東口広場の再整備工事と、高速バスの利用者増加に対応するためでした。

その後、施設の老朽化と利用者の減少により、2009年10月15日、2010年3月31日をもって閉鎖されることが発表され、営業を終了しました。閉鎖後、高速バス以外の路線バスは、2016年3月に整備された福井駅西口交通広場へ集約されました。

京福バスターミナルは、券売機、出札窓口、売店、待合室、コインロッカーなどの旅客設備を備えていました。冬季には待合室に暖房器具が設置されるなど、利用者の快適性を考慮した設計となっていました。バスターミナルの出入口は、大名町交差点側、フェニックス通り側、そしてビルの北側玄関の3ヶ所がありました。また、地下道を通じて福井鉄道市役所前駅（現・福井城址大名町駅）と接続しており、利便性の高い立地でした。

ターミナルの乗車バースは1番から10番まであり、各バースには電照式または巻取幕式の発車案内表示がありました。発車は原則として10分毎の一斉発車方式で、発車5分前には改札が行われていました。京福バスでは2扉車の後扉乗車が原則でしたが、本ターミナルでは前扉からの乗車が例外的に認められていました。

京福バスターミナルの大きな特徴として、スイッチバック方式による入出場方式が挙げられます。バスは北側の市役所方面からターミナルへ入場し、発車時には奇数バースと偶数バースのバスが交互に、中央大通りへ左折して福井駅方面へ出発するシステムでした。この方式のため、大通りに出る横断歩道にはバスの出場時にのみ停止する信号機が設置されていました。また、本ターミナルから出発するバスは、福井駅前市内バスのりばに停車してから福井駅へ向かうため、福井駅交差点で180度回転する必要がありました。降車場は、中央大通りにある「福井」おりば（市内路線の「福井駅前」おりばと共用）でした。

京福バスターミナル周辺には、官公庁、事務所、商店、宿泊施設などが密集していました。市役所前駅（現・福井城址大名町駅）、福井市役所、福井市中央公園、福井城址、福井駅、西武福井店、福井まちなか文化施設響のホール（2020年閉鎖）、足羽川、福井銀行本店などが近隣にありました。

現在、繊協ビルは老朽化のため都市再開発の対象となり、跡地にはホテルと立体駐車場が建設される予定です。京福バスターミナルは、その歴史的背景やユニークな構造、そして周辺環境を含めて、福井市の都市発展を語る上で重要な存在でした。

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