足羽川

足羽川：福井の街を潤す河川と、その歴史と未来

福井県を流れる足羽川は、九頭竜川水系日野川の支流として、豊かな自然と歴史、そして現代社会が織りなす複雑な姿を映し出しています。冠山を源流とし、福井市街地を流れ日野川に注ぐその道程は、美しい桜並木と度重なる水害の歴史を物語っています。

地理と歴史

足羽川は、福井県今立郡池田町を源流とし、北へと流れ、福井市に入ると国道158号に沿って西へと向きを変えます。福井市街地を縫うように流れ、大瀬町付近で日野川と合流します。市街地を流れる区間では、川幅が狭く蛇行している箇所があり、これが水害の原因の一つとなっています。

古くから、足羽川は重要な水運路として利用されてきました。戦国時代には朝倉氏の拠点、一乗谷と三国港を結ぶ水上交通が盛んに行われ、江戸時代には福井城下と三国港を繋ぐ重要な物流ルートとして機能していました。特に、足羽山で採掘される笏谷石は、この川を利用して三国港から各地へ運ばれていました。

現在では、足羽川は福井市の生活に欠かせない存在です。桜並木は「さくら名所100選」にも選ばれ、春の観光名所として多くの人々を魅了しています。しかし、その一方で、度重なる水害により、人々の生活や経済に大きな被害を与えてきました。

水害と治水対策

足羽川は、その地理的特性から、水害リスクの高い河川として知られています。川幅が狭く蛇行している箇所や、古い橋梁の橋脚が流れを阻害するといった点が、水害発生の一因となっています。2004年の福井豪雨では、カーブ外側の堤防が決壊し、甚大な被害をもたらしました。

この豪雨を契機に、足羽川の治水対策が本格的に検討されることになりました。当初は、足羽川ダムの建設が計画されましたが、住民の反対運動により凍結されました。その後、代替案として、支流の部子川に治水ダムを建設する計画が示されました。このダムは、普段は貯水せず、洪水時にのみ水を貯留することで、洪水調節を行うものです。この計画は、ダム建設反対派からも批判を受けていますが、豪雨被害を受けた福井市や流域住民からは、ダム建設への理解を示す声も多く聞かれています。

桜並木と再生

足羽川の桜並木は、明治時代と昭和時代に植えられたソメイヨシノを中心としたものです。樹齢を重ね老朽化が進む中、2004年の豪雨被害により、桜並木は大きなダメージを受けました。

そこで、福井市は桜並木の再生計画に着手しました。単一の樹種であるソメイヨシノの植栽を見直し、多様な桜を植栽することで、生態系の多様性を高め、より持続可能な桜並木を目指しています。伐採した桜は有効利用され、地元協議会や専門家の意見を反映しながら、新たな桜並木が創出されています。

まとめ

足羽川は、福井の街の歴史と文化を育んできた重要な河川です。美しい桜並木は人々の憩いの場であり、観光資源となっています。しかし、水害リスクの高さを踏まえ、その対策は依然として課題となっています。治水対策と桜並木の再生という二つの課題に、地元住民や関係機関が知恵を絞り、未来へと繋がる取り組みが進められています。今後も足羽川の未来を見守り、その発展を願ってやみません。

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