京都人文学園

京都人文学園

京都人文学園は、第二次世界大戦終結直後の1946年に、京都で設立された民間教育運動の一つです。戦前の教育が富国強兵を目的とし、「教育勅語」を規範としていたのに対し、戦後は連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の教育改革により、「教育基本法」に基づく民主的な教育が目指されました。京都人文学園は、この新教育制度が整備されるまでの過渡期に、各地で起きた民間教育運動の一つとして設立されました。

設立の背景

戦時中、多くの若者が学業を中断し、軍隊や工場、農村への動員を余儀なくされました。京都人文学園は、このような状況下で教育機会を奪われた青年男女に、再び学びの場を提供することを目的に設立されました。創設者の一人である堀江友広の資金提供により、人文主義に基づいた人間教育を軸として、思考と行動が一致する世界市民の育成を目標としました。

教育内容と特徴

同学園は、住谷悦治、新村猛、久野収、青山秀夫、佐々木時雄といった、京都大学と兼任する教師陣を中心に構成されました。京都御所脇の仏教会館を仮校舎として開校し、3年制の各種学校として運営されました。教育内容は一般教育（一般教養）に特化しており、生徒の自主性を重視した教育が特徴でした。具体的には、大幅な生徒自治、男女共学、無試験（レポート制）、無規則、無処罰といった、当時としては革新的な教育活動が試みられました。

短期での閉校とその後

しかし、開校翌年から入学希望者が減少し、財政難に陥りました。篤志家の寄付によって一時的に解散を免れたものの、1950年には閉校を余儀なくされました。その後、1949年には勤労青年を対象とした夜間部が同校舎で発足し、同学園の教育理念が受け継がれました。この夜間部は、8年後に社団法人京都勤労者学園として存続しました。また、赤字財政補填事業として1951年に開設された予備校賀茂川学園は、後に関西文理学院となりました。

関連事項

• - 関西文理学院
• - 長浜バイオ大学
• - 鎌倉アカデミア

京都人文学園は、短期間の活動でしたが、戦後の教育改革期における民間教育の先駆けとして、その理念と試みは、後の教育機関に影響を与えました。特に、生徒の自主性を尊重し、画一的な教育に捉われない自由な学びの場を提供しようとした姿勢は、現代の教育においても重要な示唆を与えています。

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