京阪東ローズタウン

京阪東ローズタウン：緑とコミュニティが織りなす街

京阪東ローズタウンは、京都府京田辺市と八幡市にまたがる丘陵地帯に広がる、大規模な住宅地です。大阪府枚方市にも近い立地で、自然豊かな環境と都市へのアクセスを両立させています。

開発とまちづくり

京阪電気鉄道が主体となって開発されたこの街は、約159万平方メートルという広大な敷地に、約4500戸の住宅が計画されています。1992年の入居開始以来、現在も造成や分譲が継続されており、長期的なまちづくりが展開されています。

開発コンセプトは「太陽と緑と健康の街」。単なる住宅地の建設だけでなく、住民が愛着を持って暮らせる「ホームタウン」を目指し、緑豊かな空間の確保や、コミュニティ形成支援に力を入れています。

特に注目すべきは、京阪電気鉄道が運営する「たうんくらぶ」の存在です。住民同士の交流を促進するための会員制組織で、イベント開催やサークル活動支援など、ソフト面でのまちづくりにも積極的に貢献しています。2007年からは「共育（ともいく）」を新たなテーマに掲げ、住民参加型のまちづくりをさらに強化しています。この取り組みが評価され、2002年には国土交通大臣より「まちづくり功労者」表彰を受賞しています。

開発は、京阪電気鉄道による土地区画整理事業として行われました。全域を12の事業地区に分け、段階的に開発を進めることで、入居開始までにそれぞれの地区で事業が完了するという体制が整えられました。ただし、京阪電気鉄道が全ての土地を所有しているわけではないため、造成完了後も私有地が残っている地区があります。2010年3月に最後の事業地区の整理事業が完了しましたが、現在も一部地域では造成工事が続いています。

交通アクセス

京阪東ローズタウンは、優れた交通アクセスを誇ります。

道路

タウンの中央部を南北に第二京阪道路が貫通しており、専用部と一般部が掘割構造となっています。2010年の全線開通時には、立体道路制度を活用した京田辺パーキングエリアが設置されました。東西方向には山手幹線が走り、府道736号交野久御山線もほぼ並行して通じています。

鉄道

JR西日本学研都市線松井山手駅がタウン中央部東寄りに位置しており、鉄道アクセスも良好です。

バス

京阪バスが運行する路線バスが充実しており、松井山手駅から近鉄新田辺駅、京阪樟葉駅、摂南大学枚方キャンパスなどへのアクセスが容易です。タウン内循環バスのほか、京都駅八条口とを結ぶ直通急行バス「ダイレクトエクスプレス直Q京都号」も運行されています。高速バス路線も整備されており、関西国際空港や、その他の地域へのアクセスも可能です。2010年の第二京阪道路全通を機に、リムジンバス路線の再編が行われ、京都駅からのリムジンバスが第二京阪道路経由に変更され、高速京田辺での乗降が行われるようになりました。

街区と施設

タウン内の街区は計画的に配置され、都市計画法や地区計画に基づいた用途地域指定がなされています。そのため、長期間にわたって秩序ある街並みが維持されるよう配慮されています。

行政上の区域として、京田辺市域を「松井山手地区」、八幡市域を「欽明台地区」と呼ぶこともあります。タウン整備上は、8つの街区に分けられており、そのうち6つには「○○ヶ丘」という愛称が付けられています。それぞれの街区には、マンションや戸建て住宅が混在しており、様々なタイプの住居が用意されています。

センター地区は、松井山手駅前に位置する商業専用地区です。住居の建築は禁止されており、商業施設が集中しています。近隣には、複数のマンションや商業施設、公園などが整備されています。

特長あるシステム

京阪東ローズタウンでは、独自のシステムが導入されています。

たうんくらぶ

住民同士のコミュニティ形成を支援する会員制組織です。入居者は世帯単位で自動的に加入し、イベント参加や生活情報提供などのサービスを受けることができます。

ホームセキュリティシステム

タウン内に警備センターを設置し、専用のホームセキュリティシステムを導入しています。入居時には強制契約となりますが、戸建て住宅の場合は5年間のみです。パトロールカーによる巡回も行われています。

ケーブルテレビ

タウンの大部分は地上波テレビ放送の難視聴地域であるため、ケーブルテレビが整備されています。当初は京阪電気鉄道が運営していましたが、現在はオプテージが提供するサービスエリアに含まれており、eo光テレビやフレッツ・テレビの加入が可能です。戸建て住宅ではケーブルテレビ加入が土地売買契約の条件となっています。

断念された計画

バブル経済崩壊などの影響で、当初計画の一部は断念されました。タウン独自のコミュニティチャンネルや、京阪百貨店への出店、クリニック地区の整備などが、その例です。

公共施設と周辺環境

タウン内および近隣には、警察署、消防署、学校、公園、医療機関、商業施設などが整備されています。商業施設は、センター地区、近隣センター地区、山手幹線沿道などに立地しています。

沿革

1967年から土地買収を開始し、1992年に街開きを迎えた京阪東ローズタウン。以来、段階的な開発とまちづくりが続けられています。

諸問題

京阪東ローズタウンの開発においては、パチンコ店出店問題や山手幹線の渋滞問題などが発生しました。また、周辺での小規模な住宅地開発も増加しており、街並みの維持やタウンイメージとの整合性といった課題も存在しています。

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