人も歩けば

人も歩けば

『人も歩けば』は、梅崎春生による1959年刊行の小説であり、1960年には川島雄三監督によって映画化もされた作品です。主人公の砂川桂馬を中心に、彼の波瀾万丈な人生模様が描かれています。

あらすじ

砂川桂馬は、キャバレーでドラマーとして生計を立てていましたが、ひょんなことから銀座の質屋「成金屋」の主人と知り合い、将棋仲間となります。その縁で「成金屋」の婿として迎えられることになった桂馬でしたが、義父はすぐに亡くなってしまいます。その後、桂馬は商売に失敗し、「あかしや化粧品」のセールスマンに転職します。

ある日、彼は銭湯「八卦湯」の店主であり、手相占い師でもある日高泥竜子に占ってもらいます。そこで「婿入り先を近々出る」「大金を手にする」と予言されます。その予言通り、義母と妻が探偵（金田一小五郎）を雇って桂馬の素行調査を行ったことがきっかけで、彼は家を出ることになります。

家を飛び出した桂馬は、ドヤ街にある並木浪五郎が経営する「ベッドハウス」に身を寄せます。そこで板割鉄太郎を弟分としますが、鉄太郎に金を全て持ち逃げされ、無一文となってしまいます。困窮した桂馬は、烏森にある日高泥竜子の銭湯で三助として働くことになります。

そんな中、桂馬に転機が訪れます。伯父が亡くなり、9000万円という巨額の遺産を相続することになったのです。それを知った成金屋の一家は、桂馬を探し始めます。追われる身となった桂馬は逃亡を試みますが、日高泥竜子が計画している新興宗教「心霊八相会」の教祖役を頼まれてしまいます。また、日高が廃業した銭湯は、おでん屋「すみれ」が買い取り、「すみれ湯」として再開することになります。

様々な出来事が重なり、目まぐるしい日々を送る桂馬でしたが、ふと気が付くと、彼はいつものように将棋を指しているのでした。

キャスト

砂川桂馬：フランキー堺
成金義平：沢村いき雄
成金キン：沢村貞子
成金富子：横山道代
成金清子：小林千登勢
木下藤兵衛：桂小金治
ナミ子：春川ますみ
日高泥竜子：森川信
佐倉すみれ：淡路恵子
並木浪五郎：加東大介
板割鉄太郎：三遊亭小円馬
金田一小五郎：藤木悠

スタッフ

監督：川島雄三
原作：梅崎春生
音楽：真鍋理一郎
製作：東京映画、東宝

作品の魅力

『人も歩けば』は、一人の男の人生をコミカルかつドラマチックに描いた作品です。フランキー堺をはじめとする個性豊かなキャストたちの演技、川島雄三監督の洒脱な演出、そして梅崎春生の原作が織りなす独特の世界観が、観る者を魅了します。人生の unexpected な展開と、その中で生きる人々の人間模様が、ユーモラスかつ温かく描かれています。

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