人形劇 三国志

人形劇 三国志

『人形劇 三国志』は、1982年10月2日から1984年3月24日までNHKで放送された人形劇です。本作は、中国の古典文学『三国志演義』をもとに、魏、呉、蜀の三国の興亡を描いています。人形美術は、著名な人形美術家川本喜八郎が手がけ、緻密で美しい人形たちが視聴者の心をつかみました。

番組の特色

番組は、劉備や諸葛亮などの歴史的人物を中心に、オリジナルのキャラクターやストーリーを用いて展開されます。特に、桃園の誓いから五丈原の戦いまでの物語が、少年少女にもわかりやすく描かれており、分かりやすいセリフや展開が特徴です。細かい設定やキャラクターのアレンジも施され、例えば、呂布の弟である海賊首領「呂王」など、オリジナル要素が盛り込まれています。教育的な要素が強調され、勧善懲悪のテーマが際立っており、視聴者に愛されました。

放送時間は、通常の人形劇とは異なり1話45分という長さでした。そのため、緊迫した場面や感動的な瞬間がより丁寧に描かれ、視聴者への印象を深めました。また、トリックや特効を駆使した演出も取り入れられ、合戦シーンでは実際の炎や水を使用する試みも行われました。

キャストと制作スタッフ

声の出演者には豪華な俳優陣が名を連ねています。例えば、劉備を演じた谷隼人や、孔明を演じた森本レオなど、1人の声優が複数のキャラクターを担当するスタイルもありました。脚本は小川英と田波靖男が手がけ、音楽は細野晴臣が作曲しました。さらには、当時の漫才師である紳助・竜介がストーリーテラーとしても活躍し、物語の合間にユーモラスな解説を提供しました。

オリジナルキャラクター

劇の中には、関羽の養子として活躍する「勝平」、曹操軍の間者「王傑」など、創作されたキャラクターも登場し、ストーリーを一層多彩にしました。勝平は関羽を慕って彼に仕え、物語の中で成長していく姿が描かれています。

教訓やことわざ

また、1983年には『ことわざ三国志』という特別番組も放送され、三国志に関連することわざを解説しました。このように、本作はただの娯楽作品に留まらず、教育的要素も兼ね備えていました。

結末と影響

最終回では、蜀の滅亡をナレーションで伝えた後、すべての人形たちが視聴者に向けて感謝の言葉を述べるという感動的な演出がなされました。このような独特な締めくくりや、視聴者との交流を大切にしたスタイルは、多くの人の記憶に残り、後の人形劇にも影響を与えました。

放送終了後、使用された人形の多くは長野県飯田市に寄贈され、川本喜八郎人形美術館に展示されています。充実した内容と美しい映像美が評価され、今でも愛され続ける作品となっている『人形劇 三国志』は、日本の絵物語のひとつの金字塔です。

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