人民出版社

人民出版社について

人民出版社（じんみんしゅっぱんしゃ）は、中華人民共和国における国営の総合出版社であり、特に哲学や社会科学に関する書籍、中国共産党や中国政府に関連する政治的な文献を中心に多くの著作を出版しています。1921年に共産党によって設立されたこの出版社は、1950年に国営出版社として再編成されました。社名の揮毫は毛沢東によってなされ、以降彼の思想や文献も多く取り扱われるようになりました。

歴史と発展

人民出版社の設立から数年後、1948年に創設された三聯書店は、1951年から1986年までこの出版社に統合されていました。この時期、三聯書店は人民出版社のサブブランドとして活動しましたが、1986年に「生活・読書・新知三聯書店」と改称され、独自の出版社としての道を歩み始めました。その後、人民出版社は新たに東方出版社を設立しました。この出版社は政治に偏らない一般書籍の出版に主眼を置き、内部参考刊行物である「内部書」も手掛けています。

主な出版物

人民出版社は多岐にわたる出版物を取り扱っており、その中でも特に重要な著作がいくつかあります。これには、マルクスやエンゲルス、レーニン、スターリンなどの全集や選集、そして毛沢東に関連する文献が含まれます。また、鄧小平や江沢民など、他の中国共産党指導者たちの文選も多く手がけられています。一般書籍においては、歴史書や中国の大学で使用される教材も発行しており、特に『世界通史』は評価されています。

教科書『世界通史』の内容

人民出版社が発行している『世界通史』は、中国の大学生向けに作られた歴史教材です。この教材は、三国時代について独自の解釈を提示しており、高句麗を除外した上で新羅、百済、伽耶の三国を定義します。その中で、武帝が衛氏朝鮮を滅ぼした後の郡県制の施行について詳しく記述されており、高句麗に関しては「漢の玄菟郡管轄下の中国少数民族」と記されています。また、この教材では唐・新羅戦争についても触れ、唐の中央政府が高句麗を懲罰する形で直轄領にする様子が描かれています。

さらに、『世界通史』は4世紀から5世紀にかけて伽耶が日本の支配を受けていたとの歴史的背景を受け入れ、伽耶が日本の侵略を受けたことに触れています。

雑誌の発行

人民出版社はまた、さまざまな雑誌も発行しており、その中には「新華月報」「新華文摘」「人物」といったタイトルが存在します。これらの出版物は、政治や社会に関する情報の発信源として幅広く読まれています。

まとめ

人民出版社は、中国全土にわたる書籍や文献の発行において重要な役割を担い続けており、特に中国共産党の思想を反映した内容が多いことが特徴です。歴史的な文献や教科書を通じて、国家のイデオロギーを広める役割を果たしているこの出版社の活動は、今後も注目されることでしょう。

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