人民委員部

人民委員部とは

人民委員部（じんみんいいんぶ、ロシア語: Народный комиссариат）は、1917年から1946年までソビエト連邦およびその構成国において設置されていた行政機関です。日本における省に相当し、人民委員（Народный комиссар、略称：Нарком）がその長として機能していました。つまり、人民委員は日本の大臣に類似する役割を果たしていました。

歴史的背景

ロシア共和国人民委員会議の設立

1917年11月8日に労働者・兵士代表ソビエト第2回全ロシア大会において採択された布告に基づき、最初のロシア・ソビエト共和国人民委員会議が設立されました。この布告では、陸海軍大委員会とともに、貿易・産業、法務、郵便・電信、労働、外務、食糧、財務、教育、鉄道、内務、農業、民族問題など、12の人民委員部が構成されることが明記されました。

ソビエト連邦人民委員会議の形成

1922年12月、「ソビエト連邦の結成に関する条約」の第11条では、初のソビエト連邦人民委員会議の構成機関として国民経済最高会議とともに、外務、陸海軍、対外貿易、鉄道輸送、郵便・電信、労農監査、労働、食糧、財務の9つの人民委員部が挙げられました。1924年1月、連邦憲法の改定により、人民委員部は二種類に分けられました。一つは全連邦単位に設置される5人民委員部（外務、陸海軍、対外貿易、鉄道輸送、郵便・電信）、もう一つは各共和国に設置される4人民委員部（労農監査、労働、食糧、財務）です。

スターリン憲法とその影響

1936年12月に改訂されたスターリン憲法では、全連邦単位に設けられる人民委員部として国防、外務、対外貿易、鉄道輸送、通信、海運、重工業、国防産業の8部門が新たに追加されました。また、各共和国に置かれる人民委員部として食品産業、軽工業、林業、農業、穀物・畜産ソフホーズ、財務、国内貿易、内務、法務、保健の10部門が挙げられました。

改名とその後

1946年3月15日、法令により、全ての人民委員部は「省」に改称され、人民委員は「大臣」となりました。この変化は、ソビエト連邦の行政機構における重要な転換点を示しています。人民委員部は、当時の社会主義体制のもとでの国家運営において重要な役割を果たしましたが、最終的にその機能は現代の省庁形態へと移行していきました。

結論

人民委員部はソビエト連邦における多様な分野の行政を担い、国の運営に大きく寄与した機関でした。その存在は、社会主義体制がどのように組織されていたかを理解するために不可欠な要素であり、今日でもその影響は歴史の中で感じられます。

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