人民解放軍駐香港部隊

中国人民解放軍駐香港部隊について

中国人民解放軍駐香港部隊は、香港の防衛を担う中国人民解放軍の部隊であり、中国本土から派遣されています。その活動は香港の安全保障に深く関わる一方で、政治的な側面も持ち合わせています。

概要

駐香港部隊は、中国共産党中央軍事委員会の指揮下に置かれ、駐留に必要な経費は中国政府が負担しています。香港行政長官は、必要に応じて中央政府である国務院を通じて部隊の出動を要請できます。部隊の司令部は、香港島北部の中環地区に位置しており、かつてはイギリス軍の司令部であった場所を使用しています。1997年の香港返還に伴い、人民解放軍の管轄となりました。

歴史

部隊の準備は1993年頃から始まり、1996年1月28日に深圳に設置されました。同年12月30日には「香港駐軍法」が制定され、部隊は香港基本法や香港の法律を遵守することが義務付けられました。1997年7月1日の香港返還に伴い、部隊は香港に進駐しましたが、その際、中国側とイギリス側との間で進駐完了時間に関して意見の対立がありました。結果として、部隊は二つのグループに分かれ、それぞれ異なる日時に香港入りすることとなりました。

部隊は、1998年、2004年、2007年、2012年、2015年に閲兵式を実施しています。また、2018年には台風被害からの復旧活動を、2019年には民主化デモに関連して道路のレンガ撤去活動を行いました。これらの活動に対して、香港の民主派からは批判的な意見も出ています。

編制

駐香港部隊は、形式上は省軍区と同格ですが、戦力規模は比較的小さいです。広東省にも基地を有し、実質的には南部戦区に属しています。香港への駐留は、防衛上の理由だけでなく、中国の主権を誇示する意味合いも持っています。大型兵器は香港ではなく、本土側に配備されています。

陸軍

陸軍は旅団規模で、兵力は約6千人です。装備は小型武器と装甲車に限定されており、戦車は配備されていません。

主な装備

92式手槍（拳銃）
05式軽型衝鋒槍（サブマシンガン）
CS/LS7（サブマシンガン）
09式軍用散彈槍（ショットガン）
95式自動歩槍（歩兵銃）
03式自動歩槍（歩兵銃）
191型5.8mm自動歩槍（歩兵銃）
88式狙撃歩槍（狙撃銃）
CS/LR4（狙撃銃）
CA-30トラック
93式装輪装甲車
08式歩兵戦闘車

艦艇大隊

艦艇大隊は昂船洲に基地を置いています。南海艦隊の警備区域内ではありますが、指揮系統上は独立していると見られています。

主な装備

056型コルベット 2隻
074型揚陸艇（玉海型） 3隻

航空兵団

航空兵団は石崗飛行場に基地を置いています。

主な装備

第1大隊（Z-10）
第2大隊（Z-20）

歴代司令員

劉鎮武（1997－1999）
熊自仁（1999－2004）
王繼堂（2004－2008）
張仕波（2008－2012）
王暁軍(2012－2014)
譚本宏(2014－2019)
陳道祥(2019－)

歴代政治委員

熊自仁
王玉發
劉良凱
張汝成
劉良凱（2期目）
王増鉢
岳世鑫
蔡永中

香港への配慮

部隊の司令官や隊員は、南部戦区から任命されることが多く、広東語と英語の能力が求められます。香港と中国本土では交通ルールが異なるため、車両運転を担当する隊員は、事前に本土で訓練を受け、香港の左側通行に慣れてから派遣されます。射撃訓練を行う際には、香港警察への事前通報が義務付けられています。隊員の外出は厳しく制限されており、外出時の軍服着用も禁止されているため、香港市民が隊員に遭遇する機会は非常に少ないです。部隊は、国慶節などの特定の日に香港市民に開放されています。

また、本土側の基地と香港側の部隊は定期的に入れ替えが行われています。

関連項目

保護する責任（Responsibility to Protect）

外部リンク

* 中国人民解放军驻香港部队（解放军驻港部队） - ウェイバックマシン

もう一度検索