人見吉之助

人見 吉之助について

人見吉之助（ひとみ きちのすけ）は、1898年10月31日に京都市西陣で生まれた日本の映画監督および脚本家であり、特に昭和初期における映画界での活躍で知られています。彼の父、勘助は牧野省三の幼なじみであり、牧野が映画制作を始めるときから彼を支えてきた重要な人物でした。

人見は京都市立第二商業学校を卒業した後、東京に上京し、慶應義塾大学の予科に進学しましたが、病気のために一年で中退。その後、髙島屋の装飾部に入社しました。しかし、映画業界への夢を諦めきれず、父に相談したところ、1925年に牧野が設立したマキノ・プロダクションに入社しました。

マキノ・プロダクションでは、牧野や沼田紅緑の助監督として経験を積み、翌1926年には脚本デビューを果たします。この年に公開された『男達』と『走馬燈』がその作品であり、その才能は早くも評価されることとなります。同年4月には27歳という若さで監督に昇進し、彼のオリジナル脚本による『わすれ髪』で監督デビューを果たしました。この映画は同年の5月6日に公開され、いち早く観客の心をつかんだ作品となりました。

監督業が順調に進む中、1929年7月25日に牧野省三が亡くなります。その後、マキノの長男、マキノ正博を中心に新たな体制がまとまりました。この時点で、人見吉之助は監督部の一員として活動を続け、現代劇の制作に力を入れました。彼はこの時期に多くの作品を手掛けたものの、33歳を迎える前にあたる1931年には会社が倒産し、彼自身の消息が途絶えてしまいます。このため、その後の活動やゆかりのある記録は残っていません。

主なフィルモグラフィ

彼の作品には以下のようなものがあります。

• - 脚本

- 男達（1926年、監督：沼田紅緑）＊脚本デビュー作
- 走馬燈（1926年、監督：沼田紅緑）

• - 監督

- わすれ髪（1926年、原作・脚本・監督）
- ひよどり草紙 第一篇（1928年、原作：吉川英治、脚本：内田菊子）
- ひよどり草紙 第二篇（1928年、原作：吉川英治、脚本：内田菊子）
- ひよどり草紙 第三篇（1928年、原作：吉川英治、脚本：内田菊子）
- ひよどり草紙 第四篇（1928年、原作：吉川英治、脚本：内田菊子）
- ひよどり草紙 第五篇（1928年、原作：吉川英治、脚本：内田菊子）
- 三朝小唄（1929年、原作・脚本・監督）
- 夫婦（1930年、原作・脚本：八田尚之）
- 恋愛病者（1930年、原作・脚本・監督）
- 百パーセント結婚（1930年、原作・脚本：八田尚之）
- スヰートピー（1930年、原作・脚本：八田尚之）
- シボレー恋をのせて（1930年、原作・脚本：八田尚之）
- 感情を遊ぶ女（1930年、原作・脚本：石川孝臣）
- 人形になった女（1931年、原作・脚本・監督）
- 背広の弥次喜多（1931年、原作・脚本：八田尚之）＊最終作
- 龍太郎物語（1931年、原作・脚本：八田尚之）

まとめ

人見吉之助の映画は、昭和初期の日本映画界において特に重要な意味を持ちます。彼の現代劇は、今でも高く評価される作品が多く、映画ファンにとっては見逃せない存在です。彼の活躍の後の消息が分からないことは残念ですが、彼の作品は今もなお、その魅力を私たちに届けてくれています。

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