八田尚之

八田尚之

八田尚之（はった なおゆき）は、1905年（明治38年）12月2日に北海道小樽市で生まれた日本の脚本家です。1964年（昭和39年）8月25日に58歳で亡くなるまで、数多くの映画脚本を手がけました。女優の宝生あやこは妻です。

生い立ちと初期のキャリア

北海道庁立小樽中学校（現在の北海道小樽潮陵高等学校）を卒業後、上京しました。1927年（昭和2年）、21歳の時に京都のマキノ・プロダクションと提携していた勝見庸太郎プロダクションに入社しました。翌1928年（昭和3年）には、勝見庸太郎監督・主演の『べらぼう長者』で原案が採用され、同年11月には勝見監督・主演の『馬子日記』で脚本家としてデビューしました。この頃、八田は22歳という若さでした。

マキノ・プロダクション時代

脚本家デビュー後、5本を執筆した1929年（昭和4年）7月に牧野省三が死去。牧野の死後、マキノ正博を中心とした新体制が発表されましたが、八田は「脚本部」には名を連ねていませんでした。しかし、勝見作品以上にマキノの現代劇の主力として活躍し、人見吉之助監督とのコンビを中心に19本の脚本を執筆しました。しかし、1931年（昭和6年）にはマキノ・プロダクションは倒産し解散。八田は日活太秦撮影所に入社しました。

東京発声映画時代

1934年（昭和9年）、日活の現代劇部が多摩川撮影所へ移転した際に東京へ移りました。翌1935年（昭和10年）には、重宗務が設立した東京発声映画製作所に移籍し、企画脚本部長に就任。1937年（昭和12年）には、石坂洋次郎の小説を原作とした豊田四郎監督の『若い人』がヒットし、以降、豊田監督とのコンビで文芸作品の映画化を多く手がけました。この作品の成功により、八田は文芸路線の脚本家として確固たる地位を築きました。

東宝映画時代と戦後

1939年（昭和14年）、東宝映画東京撮影所に入社。東宝時代も文芸路線で活躍し、一時代を築きました。戦後は東宝を主軸に、新東宝や東映でも脚本を執筆しました。生涯で100本近い脚本を手がけ、戦前には自ら監督した教育映画も1作あります。文学作品を映画化することに情熱を注ぎ、多くの観客を魅了しました。

主なフィルモグラフィ

1928年: 『べらぼう長者』 - 原作、監督・主演:勝見庸太郎、脚本:勝見黙笑
1928年: 『馬子日記』 - 原作・脚本、監督・主演:勝見庸太郎
1937年: 『若い人』 - 監督:豊田四郎、原作:石坂洋次郎
1953年: 『坊っちゃん』 - 監督:丸山誠治、原作:夏目漱石
1954年: 『放浪記』 - 監督:久松静児
1954年: 『母の初恋』 - 監督:久松静児、原作:川端康成

著書

『シナリオ冬の宿・鶯』作品社、1938年
『シナリオ若い人・泣虫小僧』作品社、1938年
『瓢人先生』談論社、1948年、のち春陽文庫
『続・瓢人先生』春陽文庫、1952年
『八田尚之作品集』全3巻、演劇出版社、1970-73年
1: (劇)
2: (シナリオ)
3: (放送小説)

外部リンク

八田尚之 - 日本映画データベース
Naoyuki Hatta - IMDb（英語）

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