人見次郎 (台湾総督府総務長官)

人見次郎：植民地統治を担った官僚・実業家の生涯

人見次郎（1879年12月16日 - 1959年12月2日）は、日本の農商務官僚、そして実業家として、明治から昭和にかけて活躍した人物です。特に、朝鮮総督府総督官房鉄道局長、台湾総督府総務長官といった要職を歴任し、日本の植民地統治に深く関わりました。

生い立ちと初期の経歴

人見次郎は、1879年、京都府船井郡富本村（現在の南丹市八木地区）で生まれました。第三高等学校を経て、1904年7月に東京帝国大学法科大学法律学科を卒業。同年11月には、文官高等試験行政科試験に合格し、官僚としての道を歩み始めます。農商務省に入省し、山林局に配属された後、特許局事務官・庶務課長、兼特許局図書館長、衆議院事務局書記官兼特許局事務官などを歴任しました。

朝鮮総督府での活躍

1908年、人見は統監府に転じ、特許局事務官に就任します。1910年8月に朝鮮総督府が設置されると、書記官・農商工部商工課長に就任。その後、同部殖産局商工課長、農商工部農務課長などを歴任し、1917年7月には総督官房鉄道局長に就任しました。鉄道局長として、朝鮮半島の鉄道網の整備に尽力し、1919年5月までその任を務め、退官しました。

実業家としての活動と台湾総督府総務長官

退官後、人見は東洋拓殖株式会社理事を務め、実業家としての活動を開始します。また、1926年には、フィラデルフィアで開催された米国独立150年記念万国博覧会の日本出品協会幹事長を務めました。

1929年7月、朝鮮総督府時代の上司であった石塚英蔵が台湾総督に就任すると、人見は同年8月、台湾総督府総務長官に就任します。総務長官として、台湾の統治に携わりますが、1931年1月、霧社事件の責任を取り、石塚総督と共に辞任しました。

その後と晩年

台湾総督府総務長官辞任後、人見は朝鮮無煙炭株式会社常務取締役、西鮮鉄道株式会社社長などを務めましたが、戦後に公職追放となりました。1959年12月2日午後1時15分頃、東京都世田谷区上北沢の自宅にて脳軟化症のため死去。同月4日にはカトリック世田谷教会において告別式が営まれました。

親族

人見の次女・季子の夫は外交官の安川壮（安川第五郎の長男）であり、孫の安川壮一は共同通信社の記者として活躍しました。壮一の岳父は岩瀬孝です。

まとめ

人見次郎は、官僚として、また実業家として、激動の時代を生きた人物です。特に、朝鮮総督府と台湾総督府において要職を歴任し、日本の植民地統治に深く関わったことは、歴史の中で特筆されるべき点です。彼の生涯は、日本の近代史における植民地統治の一側面を理解する上で、重要な意味を持っています。

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