安川第五郎

安川第五郎（1886年6月2日 - 1976年6月25日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家です。安川財閥の創始者である安川敬一郎の五男として福岡県に生まれ、安川電機の発展に大きく貢献しただけでなく、九州電力会長、日本原子力発電初代社長など、様々な要職を歴任し、日本の経済発展に尽力しました。

生い立ちと学歴

安川第五郎は、1886年に安川敬一郎の五男として福岡県遠賀郡芦屋に誕生しました。福岡県立中学修猷館を卒業後、第一高等学校を経て、1912年7月に東京帝国大学工科大学電気工学科を卒業しました。大学卒業後は日立製作所に1年間勤務し、その後アメリカのウェスティングハウスで研修を積みました。

安川電機での活躍

1915年7月、安川第五郎は兄の清三郎とともに、株式会社安川電機の前身である合資会社安川電機製作所を創立し、代表社員となりました。1919年12月には株式会社安川電機製作所を設立し、常務取締役としてモーター・電動機に製品を絞り込んで事業を拡大しました。1936年2月には社長に就任し、安川電機を日本の代表的な電機メーカーへと成長させました。

戦後の活動

第二次世界大戦後、安川第五郎は1946年2月に石炭庁長官に就任しましたが、同年9月にGHQにより公職追放を受けました。1951年8月に公職追放が解除された後、1946年11月に安川電機取締役に、1949年3月には安川電機会長に復帰しました。その後、日本動力協会会長、日本銀行政策委員会委員、日本原子力研究所初代理事長、日本原子力発電初代社長、九州電力会長、九州経済連合会初代会長、東京オリンピック組織委員会会長、綜合警備保障初代会長、日本産業広告協会初代会長、日本原子力産業会議会長など、数々の要職を歴任しました。

東京オリンピック組織委員会会長として

1964年に開催された東京オリンピックでは、組織委員会会長として大会の成功に大きく貢献しました。開会式の前日夜半は雨でしたが、安川が誠心を持って晴天になるように天に祈ると、開会式当日は雲一つない快晴になったというエピソードが残っています。その為、揮毫を頼まれると「至誠通天」の四字を好んで書き、「何か他の言葉を」と頼まれても「私はこの四文字しか書きません」と言って断ったそうです。

受賞とその後

1970年、安川第五郎は電力・原子力事業への貢献と東京オリンピック運営に尽力した功績により、勲一等旭日大綬章を授与されました。1976年6月25日に逝去し、墓所は冨士霊園にあります。

安川第五郎の自宅跡は、父の安川敬一郎が設立した九州工業大学の同窓会組織である社団法人明専会が運営するレストラン・結婚式場の「明専会館」となっています。

安川第五郎は、日本の経済発展と国際交流に大きく貢献した人物として、その功績は今もなお語り継がれています。

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