人道橋

人道橋とは

人道橋は、歩行者が安全に、そして円滑に移動できるように、河川、道路、鉄道などの障害を横断するために架けられた橋のことです。これらの橋は、歩行者の安全を確保するだけでなく、都市景観の一部としても重要な役割を果たしています。

人道橋の種類

人道橋には、その目的や構造によって様々な種類があります。

跨道橋: 道路を横断するために設けられた人道橋です。一般的に、横断歩道橋とも呼ばれます。
跨線橋: 鉄道の線路を横断するために設けられた人道橋です。
側道橋: 道路橋に近接して架けられた人道橋で、歩行者専用の通路として機能します。
横断歩道橋: 道路を横断するために設置される、歩行者専用の橋です。
自転車等専用橋: 自転車専用の橋や、自転車と歩行者が通行できる橋も人道橋の一種です。
ペデストリアンデッキ: 複数の建物や公共空間を結ぶ、高架式の歩行者専用通路です。

土木構造物としての人道橋

土木構造物としての人道橋は、以下のように分類されます。

跨道橋
横断歩道橋
自転車等専用橋
歩行者専用橋
自転車専用橋
自転車歩行者専用橋
ペデストリアンデッキ
跨線橋
跨河川橋
その他（海上橋、側道橋、公園橋など）

日本庭園に見られる人道橋：八ッ橋

日本庭園には、独特な景観を作り出す「八ッ橋」という人道橋があります。八ッ橋は、池や湿地の上にジグザグに架けられた橋で、その名の由来は、カキツバタの名所である八橋かきつばた園の池に架けられた、八枚の板をジグザグに配置した橋にあります。現在では、八枚に限らず、数枚の板をジグザグに配置した橋は、景観上の特徴から八ッ橋と呼ばれることがあります。

人道橋の歴史

人道橋の歴史は、第二次世界大戦後の自動車の普及とともに始まります。交通事故の増加に対応するため、横断歩道橋が設置されるようになりました。日本で最初に設置された横断歩道橋は、1959年に愛知県に設置されました。しかし、人道橋としては、それ以前に1956年東京都渋谷駅前に駅舎と商業ビルを結ぶ空中歩廊が建設されています。

1960年代後半には、人工地盤の整備が始まり、都市景観を改善する目的でペデストリアンデッキが整備されるようになりました。日本初のペデストリアンデッキは、1966年に東京都渋谷区の宮下公園に建設されました。その後、1972年には千葉県柏市で本格的なペデストリアンデッキが設置され、全国に普及しました。

法的にも、1965年の道路法改正で横断歩道橋が規定され、1968年の都市計画法改正では歩行者専用道路、1970年の道路構造令改正では自転車専用道路などがそれぞれ規定されました。

有名な人道橋

日本には、その景観や機能性から有名な人道橋がいくつか存在します。

滝見橋: 大分県にある人道橋で、幅120メートルの滝壺「原尻の滝」の全景を眺めることができます。
三枚とべ橋: 徳島県にある、三段の滝「三枚とべ」の二段目と三段目にかかる橋です。幅は狭いですが、滝の真上を渡るスリルを味わえます。

貧困解消のための人道橋

人道橋は、交通インフラとしての役割だけでなく、社会的役割も担っています。例えば、ボリビアの山岳農村地域では、孤立が原因の貧困を解消するため、人道橋が建設されています。

人道橋は、単なる移動手段としてだけでなく、都市や地域の生活、文化、そして社会に大きく貢献する重要な構造物です。

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