人間貧困指数

人間貧困指数（HPI）について

人間貧困指数（Human Poverty Index、略称HPI）は、国際連合開発計画（UNDP）が作成した人間開発報告書において発表される指標の一つです。人間開発指数（HDI）が3つの基本的な側面の平均的達成度を測るのに対し、HPIはその反対で、主に貧困の実態を評価するための指標です。HPIには、発展途上国向けの人間貧困指数（HPI-1）と、特定のOECD（経済協力開発機構）国に適用される人間貧困指数（HPI-2）が存在します。

発展途上国の人間貧困指数（HPI-1）

発展途上国のHPI-1は、以下の4つの指標を用いて計算されます。

1. 健康・長寿：40歳までに生存できない出生時確率。
2. 知識：成人の識字率。
3. 生活水準：改善された水資源を利用できない人口の割合および、年齢のわりに低体重の子供の割合。
4. 医療サービス：医療サービスを受けられない人の割合。

これらの指標をもとに、発展途上国における貧困とその要因を把握し、改善に向けた施策を立てることができます。発展途上国では、貧困は単に収入の低さのみならず、健康や教育、生活水準など多様な要因が絡み合っています。

OECD国の人間貧困指数（HPI-2）

一方、特定のOECD国においては、HPI-2は異なる指標から成り立っています。以下に示す6つの指標を基にしています。

1. 健康・長寿：60歳までに生存できない出生時確率。
2. 知識：機能的識字能力に欠ける成人の割合（いわゆる機能的非識字）。
3. 生活水準：貧困ライン以下で暮らしている人口の割合。
4. 社会的疎外：社会的・経済的な疎外を受ける人の割合。これには、長期失業率も含まれます。

HPI-2は、収入の多寡だけでなく、教育や社会的参加、福祉など幅広い観点からの指数です。特に社会的疎外の要因を導入することで、経済的に豊かな国においても見逃されがちな貧困の実態に光を当てることができます。

全体的な概観と発展への目標

HPIは、単純に数値を計算するだけでなく、国際的な認識を高め、貧困問題に対する取り組みを促進する目的も持っています。発展途上国においては、HPIを基にした施策が重要であり、長期的な健康改善や教育の普及、生活水準の向上に寄与することが期待されます。

また、OECD国においては、経済的な豊かさとともに社会的な不平等を見直すきっかけとなります。特に、若年層の失業や社会的孤立に対する対策は、社会全体の幸福感を向上させるために必要不可欠です。

総括

人間貧困指数は、多面性を持つ指標であり、発展途上国とOECD国の双方において、貧困という社会的課題を深く理解するための重要なツールです。これを通じて、地域・国ごとの特性に応じた適切な施策を導入し、持続可能な発展を目指すために取り組むべきです。

このように、HPIは私たちが直面する貧困の現実を浮き彫りにし、未来へ向けた改善の道筋を示す重要な指標として機能しています。

もう一度検索